PC管理に忙殺される情報システム部を救う新製品、ノベル

2003/7/31

 ノベルはクライアントPCやPDA、サーバなどの環境設定を自動管理できる新製品「Novell ZENworks 6 Suite」を8月6日に出荷すると発表した。ノベルのディレクトリサービスと連動し、ユーザーの役職などに応じてポリシーベースで管理できるのが特徴。ノベルのマーケティング本部 副本部長 伊藤由規氏は「ZENworksは、情報システム部の現場で困っている課題にこたえることができる」と述べ、「ITコストの減少と生産性の向上を実現する」と強調した。

ノベルのマーケティング本部 副本部長 伊藤由規氏

 企業のクライアントPCは利用するユーザーの事業部や役職によって利用するアプリケーションが異なるのが一般的。営業部のスタッフなら顧客管理のソフトを利用するが、マーケティング部のスタッフはレポート作成のためのツールなどが必要になることがある。しかし、これらを情シス部がスタッフの移動に合わせて手作業でインストールすることは効率が悪い。また、全社のクライアントPCに対して一括して同じソフトをインストールすることも、利用されないソフトのライセンス費用が発生し、無駄が生じる。伊藤氏によると、企業の情報システムはこれらクライアントPCの管理にかかわる作業に忙殺されていて、「午前中はサポート業務だけで、情報システム部の本来の業務ができない」こともあるという。

  ZENworksはこのような現場レベルの課題を解決することを目指すソフト。ノベルのディレクトリサービスである「Novell eDirectory」と連携し、それぞれの事業部や役職に応じて、必要なアプリケーションやPCの設定をポリシーとして定義。事業部を移動したり、入社したスタッフはネットワークにログオンするだけで、必要なアプリケーションがインストールされ、設定が自動変更される。別の部署で使っていたアプリケーションは自動的に削除されるので、ライセンス費用の無駄を防ぐことができる。インターネット経由でアプリケーションを自動インストールさせることも可能となっていて、アプリケーションの利用状況を一括管理できる。

 ZENworksにはエンドユーザーが作成した文書やデータを、自動でサーバにバックアップする機能もある。更新されたデータは差分だけがサーバにアップロードされ、常に最新の状態が保たれる仕組み。クライアントPCに障害が発生したり、新しいPCを導入した際は、ZENworksを使ってOSやアプリケーション、バックアップしておいたデータをPCに取り込んで、スムーズに業務を再開できる。

 ZENworksは複数のコンポーネントを統合して提供するスイート製品。クライアントPCを管理する「ZENworks for Desktops」、PDAで利用するアプリケーションを管理する「ZENworks for Handhelds」、サーバのアプリケーションを自動適用する「ZENworks for Servers」などで構成される。ZENworksはこれまで、ノベルの「Netware」でのみ稼働していたが、新バージョンからはWindows 2000 Server、NT Server 4.0もサポートするようにした。価格はユーザー単位のライセンス料で計算。1つのユーザーが複数のクライアントPCやPDAを使っていても1ユーザーライセンスとして課金される。

 ライセンス料はオープンプライスとなっているが、コンポーネントを個別に販売していたZENworksの従来の製品と比較すると、総額では半額以下になっているという。ZENworksを利用するには、eDirectoryが必要だが、そのライセンスはZENworksのライセンス料に含まれる。ZENworksは、ほかに管理ツールとしてユーザーデータを管理する「Novell iFolder」とWebポータルを構築する「exteNd Director Standard Edition」が付属する。

 伊藤氏はZENworksがターゲットにするマーケットについて、「大企業向きにはシステムの統合管理ツールを補完する機能を提供する。中小規模の企業にはクライアントPC管理の機能を積極的にアピールしたい」と説明。「中小規模の企業をメインにしていきたい」と述べ、統合管理ツールを導入していない中小規模の企業に売り込む考えを示した。ノベルは初年度で30億円の売り上げを目指す。

(垣内郁栄)

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ノベルの発表資料

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