e-Japan構築の本質は『オープン』にしかない、サン

2003/8/2

サン・マイクロシステムズ 代表取締役会長 菅原敏明氏

 電子政府戦略会議(主催:日本経済新聞社)で講演したサン・マイクロシステムズの代表取締役会長 菅原敏明氏は「(システムの)複雑さを人海戦術で覆い隠すのではなく、方法論を改革し、技術で排除すべき」と宣言、日本が世界最先端の電子政府システムを構築していくうえで、IT技術のオープン性に徹底的にこだわる必要があると力説した。

 今年で3回目となる電子政府戦略会議は、その年のIT技術トレンドを包含した形で、中央省庁、地方自治体、ITベンダの3者を巻き込んだ電子政府構築の方向性を探る目的がある。第1回目の開催では技術的な観点からの基調講演やセッションが少なかったのに対し、今回はオープン・ソースおよびコンポーネント型の開発手法、Webシステムの開発といった技術的な側面からのセッションが目立った。

 菅原氏の講演は、サンにおけるオープン時代の技術的な優位性を、電子政府案件の諸問題(コスト削減、複雑性の管理など)に絡めて論じた大所高所の視点があることは否めないが、講演の随所に米国発の最先端IT技術の解説が顔をのぞかせるあたり、日本における電子政府の進ちょく状況は、啓蒙段階を過ぎ始めたことを感じさせた。

 サンの電子政府構築に対する姿勢は、あくまで技術優位の姿勢を貫くものである。e-Japan プロジェクト統括責任者 中村彰二郎氏は、現段階までの電子政府システム構築における問題点として「(システムの)ブラックボックス化、ベンダ主導、既存技術者」という3点を挙げた。

サン・マイクロシステムズ e-Japan プロジェクト統括責任者 中村彰二郎氏

 システムのブラックボックス化は、メインフレーム時代およびクライアント/サーバ時代から受け継がれてきた、「1ベンダの囲い込みによるシステムの柔軟性の欠如」を示したもの。「常に最新の技術を取り込んでいくには、オープン・スタンダードに基づく技術を選択しながら採用していくのが望ましい」と中村氏は指摘する。そのためには、従来のベンダ主導による案件進行からユーザー主導の案件進行へと発展しなければならない。つまり、官公庁、自治体サイドでも、技術的な観点と事業の戦略的な観点をマッチングさせることが可能なスキルを持った人材が求められるということだ。このことは、既存の技術者を高度な人材へと育成する仕組みを作り上げる必要性にもつながっていく。

 そして、具体的な構築モデルには、J2EEを基盤としたコンポーネント型の開発モデルを推奨、コスト削減のためにもほかの自治体と連携することで、「共通APIの構築コストを減らし、ビジネスロジックの層で差別化を図っていくべき」だと中村氏は言う。つまり、MVCモデルにおけるモデルの部分を共通化し、ビューとコントローラの部分を独自に構築することで、コスト削減とともに、自治体それぞれの差別化策も打ち出そうという仕組みである。これらの実現には当然、コンポーネント型の開発手法が最適、という結論に落ち着く。

(編集局 谷古宇浩司)

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