[eWEEK] Webサービス統一への新仕様「WS-CAF」がもたらす混乱

2003/8/19
Darryl K. Taft

 米アイオナ・テクノロジーズ、英Arjuna Technologies、米オラクル、そして米サン・マイクロシステムズを含むベンダグループは先週、複数のWebサービスをコーディネートする際の問題解決に向けた「Web Services-Composite Application Framework」(WS-CAF)という新しいWebサービス仕様を発表した。

 マサチューセッツ州ウォルサムにあるアイオナのCTO(最高技術責任者)で、同仕様の共同作成者であるEric Newcomer氏によると、WS-CAFは「Web Service-Context」「Web Service-Coordination Framework」「Web Service-Transaction Management」の3つの仕様で構成されているという。

 Newcomer氏によるとWS-CAFは、IBMなどが行う特定のトランザクション処理モデルやアーキテクチャを超えて、ビジネスプロセスをコーディネートする複数レベルのフレームワークを定義する。その結果、Webサービス環境下でのトランザクション処理に対応するというもの。同氏が英国ニューキャッスルに本社を置くArjuna共同創業者のMark Little氏と共にWS-CAFの最初の作業に着手したのは2年前のことだったという。

 「この仕様はWebサービスで残る未解決分野の1つであるトランザクションに関するもので、今までだれも取り組まなかったビジネスプロセスの自動化に向けた新しいモデルである」とNewcomer氏は言う。Newcomer氏によると、ベンダ各社はWS-CAF仕様を著作権フリーのライセンスで標準化団体に寄贈することを目指しているという。「いずれは標準化委員会と話し合うつもりだが、それまでにIBMやマイクロソフトとも話し合い、この作業を認めてもらいたい」(Newcomer氏)。

 マイクロソフトとIBMは、「Web Service-Coordination」および「Web Service-Transaction」という同様の機能を実現する仕様を約1年前に公開している。一方、オラクルおよびサンの関係者によると、両社はWS-CAF仕様を詳しく調査した上で、テクニカルサポートとマーケティングサポートを提供しているという。

 マサチューセッツ州ケンブリッジにある市場調査会社のZapThinkでアナリストを務めるRon Schmelzer氏は、「必要とされているのは共通の重要な問題をベンダ各社が協力の上で解決することであって、複雑に絡み合った全体の中のごく一部しか解決しない仕様を怒濤(どとう)の勢いで作り出すことではない」と語る。「このようなことをしていると混乱が増すばかりで、おそらく互換性のない仕様ができあがるだろう。いずれはすべてに互換性を持たせなければならないので、顧客やWS-I(Web Services Interoperability Organization)の対応を待つことはない」とSchmelzer氏は語った。

[英文記事]
Spec Unifies Web Services

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