日本のソフトウェアは未曾有の品質危機に直面している?

2003/8/27

(左から)マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン 代表取締役社長 山中義晴氏と米マーキュリー・インタラクティブ 最高執行責任者(COO) ケネス・クライン氏

 日本製工業製品の品質は低下しているのだろうか? 少なくともソフトウェアに関しては、低下傾向などという甘い状況ではなく、もともと低い状態がさらに悪化の一途をたどっている、とする議論がある。テストを軽視する慣習と複雑性を加速させるITシステムの開発、運用トレンドが複雑にからみあい、みずほ銀行の例にもみられるような“最悪の事態”を頻発させる危険性をはらんでいるのだ。

 米マーキュリー・インタラクティブ 最高執行責任者(COO) ケネス・クライン(Kenneth R Klein)氏は8月26日、ITに大きく依存するこのようなビジネス上の課題をテクノロジによって解決する新コンセプト「BTO(Business Technology Optimization)」をベースとした新たな事業戦略を発表した。同コンセプトの実現によって同社は、負荷テストツールのベンダという立場からITシステムの設計、運用までを包含した製品・サービスを提供する「BTOソリューションベンダ」へと脱皮することになる。

 同社の“進化”は2002年第4四半期から本格的に始まったとクライン氏は言う。同社はこの時期にBTO戦略を発表、2003年第2四半期から第3四半期にかけて、Performat、KintanaといったITシステムの管理ソリューションを開発・販売するベンダを買収し、さらにAllerezの技術資産の取得、Motiveとの提携などを行った。結果的にBTOソリューションへの総投資額は現時点で3億1400万ドルとなった。このような買収・提携戦略に加えて、パートナー制度も刷新、BTOトレーニングプログラムなどのスキル認定制度も設置した。

 同社が装いを新たにした背景には、ITシステムの開発段階における複雑性、運用の困難さの増大という要因が挙げられる。テストツールで急成長を遂げた同社にとって、システムがさらに複雑性を増すことはビジネス・チャンスの拡大を意味する。アーキテクチャのトレンドがクライアント/サーバからWebベースに移行し、オープン性がさらに押し進められると、テストの重要性はさらに高まる。同社の狙いは、単にツールを販売するだけではなく、テストツールを核に、同社のパートナー企業が進める案件に対して開発の上流工程の段階から積極的にかかわり、さらに運用面までサポートしていくことで、ビジネスの領域を広げていくことにある。

 マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン 代表取締役社長 山中義晴氏は「ツールを有効に使いこなすには、方法論を確立しておく必要がある」と話す。これは、従来のウォーターフォール型開発方法論からテスト駆動スパイラル型の開発方法論の推進を意味する。方法論の内容については、既存の方法論を利用するのか独自開発の方法論を展開するのか明らかになってはいないが、ツールベンダがより有効なツールの活用を促すというビジネス戦略の展開は、ボーランドやラショナルを例に見るまでもなく、現在のIT業界で活発に起きている動きである。

 山中氏は「今後、システムの監査ビジネスといった新たな市場が生まれてくるはず」とし、テストツールを軸にしたビジネス・チャンスの拡大を虎視眈々(こしたんたん)と狙っている。

(編集局 谷古宇浩司)

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