EMC、『弱点』克服への道

2003/8/29

イーエムシー ジャパン 執行役員 マネージング・ディレクター 河村浩明氏

 「性能はいいが(価格が)高い」。EMCのストレージ・ソリューションに対する一般的なイメージはここに集約されるようだ。イーエムシー ジャパンとしては、価格面でのマイナス・イメージを何とか払拭(ふっしょく)したいと考えている。執行役員 マネージング・ディレクター 河村浩明氏は言う。「日経コンピュータの顧客満足度調査において、価格面での評価は最低だった。しかし、そのほかの項目では軒並み2位以下に5ポイント以上の差をつけて1位の評価を獲得している」

 同社が8月28日に発表した新製品および新サービスは、こうした価格面でのマイナス・イメージを払拭したい、との思惑が底流に流れている内容となった。新製品として発表したのは、ハイエンド・ストレージ・ハードウェア「Symmetrix DMX」シリーズの新製品「DMX3000」と「DMX800」、付随する関連ソフトウェアである。サービス面ではストレージの従量制自動課金システムサービスを発表し、パートナー施策としてパナソニック ソリューションテクノロジーとパートナー契約を締結し、中小規模企業への拡販を図る旨を公表した。

 しかし、同社としては必ずしも価格面の優位性だけを強調しているわけではない。「Symmetrix DMX」シリーズの新製品は、ネイティブiSCSIおよびネイティブギガビットイーサネットSRDF(Symmetrix Remote Data Facility)接続の両方を可能にする「マルチプロトコル・チャネル・ダイレクター」に対応、従量制自動課金プログラム(プログラム名:EMC OpenScale)においては、従来のストレージの使用量のみによる課金から、ポート数、NASサーバ数、ソフトウェアの使用量といった複数のパラメータによる課金の仕組みを追加するなど、技術面での優位性も積極的にアピールをしている。

 特にEMC OpenScaleプログラムについては、1999年からマニュアルで提供していた同サービスを自動化に切り替えたということで、同社としては力が入る発表となった。グローバルファイナンシャルサービス部 リージョナルファイナンスマネージャー 安岡克己氏は「従来、マニュアル・プロセスで提供していた従量課金サービスの顧客約20社を、いずれはすべて新たな自動課金プログラムへと移行させていきたい」と話す。このような顧客はいずれも東証一部上場規模の企業であり、同社にとっては戦略的なターゲット顧客である。

 大規模システムの市場で培ってきた強みはそのままに、価格面での優位性も求める市場の厳しい要求に同社がどこまで対応していくのか。今回の発表は、市場に対する最初の回答を示した格好となった。

(編集局 谷古宇浩司)

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