製薬業界で腕を振るうアクセンチュア

2003/8/30

アクセンチュアの製造・流通業本部 医薬品・医療品グループ アジア・太平洋地域統括パートナー 西村裕二氏

 アクセンチュアの製造・流通業本部 医薬品・医療品グループ アジア・太平洋地域統括パートナー 西村裕二氏は、「製薬業界は構造的にグローバルに基づく標準化が必要。アクセンチュアはマイクロソフトやSAP、オラクルなどのパートナーと協力し、業界標準ソリューションを開発、構築する」と述べ、製薬業界へのコンサルティングを強化する考えを示した。

 国内の製薬業界にはさまざまなプレッシャーがかかっている。外部圧力としては消費者や政府によるコスト効率が高い薬への要請、画期的な薬剤を開発することへのニーズなど。内部圧力としては、増大するR&Dのコスト、ビジネスのグローバル化、知的財産管理などだ。このようなプレッシャーの中で多くの製薬会社は株主から毎年2ケタの成長を期待されるという。

 アクセンチュアは製薬業界に対して、創薬から開発、SCM、CRM、規制対応まで一貫したコンサルティング、ソリューションを提供している。特に力を入れているのが「海外企業と日本企業のスピード格差が大きい」(西村氏)という開発のフェイズ。オラクルと提携し、臨床データの効率的な管理ソリューション「Oracle Clinical」を提供したり、医師と製薬会社の間で投薬結果をインターネットでやりとりする「eDC」と呼ばれるソリューションを展開している。特に「Oracle Clinical Remote Data Capture」を利用したeDCは、国内で導入が始まったばかり。すでに導入された製薬会社ではデータ管理工数が30%削減されるなどの実績がある。

 また、西村氏が「非常に非効率」というのが薬剤の製造。製薬会社がばらばらにシステムを導入したことでブラックボックス化が進み、効率化が難しくなっているという。アクセンチュアはこの薬剤製造にSAPのMES(製造実行システム)テンプレートをベースに開発したグローバル製薬テンプレートを適用させている。ブラックボックスとなった製造システムを可視化するテンプレートで、製造サイクルの向上やコスト削減などを実現するという。グローバル製薬テンプレートは、日本のアクセンチュアとイタリアのアクセンチュアがSAPと協力し開発。第一製薬など国内の大手製薬企業に導入されている。

 アクセンチュアの製薬業界チームは、米国、欧州、アジア・太平洋地域で約2000人のコンサルタントを抱えている。そのうち日本のコンサルタントは100人。西村氏は「国内製薬業界で年30%の成長を目指したい」と語った。

(垣内郁栄)

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