帳票は日本に学べ、Cognos ReportNetは和魂洋才

2003/9/10

 コグノスは、エンタープライズ向け帳票作成システム「Cognos ReportNet」を9日、世界10カ国で同時発表した。カナダに本社を持つ同社は、ビジネス・インテリジェンス(BI)にフォーカスしたベンダで、Cognos ReportNetは大規模企業の分散するデータを統合し、Webブラウザベースで各種レポート作成を支援するミドルウェアである。

コグノス・インコーポレイテッド シニア・バイス・プレジデント ジャック・トーマス氏

 表組みやグラフの種類など帳票の表現力に関して、日本人は世界で最も要求が厳しいといわれている。コグノスは開発に当たって、日本のビジネスシーンで要求される帳票機能の達成を目指したという。加コグノス シニア・バイス・プレジデントのジャック・トーマス(Jack Thomas)氏は、日本の帳票文化を研究し日本特有のグラフまでサポートした点を強調し、「この製品は、日本発のグローバル製品だ」と日本市場を重視する姿勢を打ち出した。サポートするグラフ類は50種類以上で、マイクロソフトのExcelに匹敵する機能を実現したという。

 Webブラウザベースであるため、アプレットやプラグインは不要。バックエンドのRDBに格納されたデータはWebブラウザ上でアイコン表示され、それをドラッグ&ドロップするだけで表やグラフを作成できる。テーブルの結合やクエリー言語などの専門知識なしでのRDBアクセスを可能にするために、サーバサイドではJSPやJSFなど先進のJavaテクノロジが採用された。中間データ形式はXMLとし、プレゼンテーション層のHTMLレイアウトについてもXMLによる定義を用いる。またオブジェクト間の通信にはWebサービスプロトコルのSOAPとするなど、Web開発の標準技術を取り入れている。

 会見では同社とIBMとの提携拡大も打ち出された。IBMのデータベース製品、DB2にはOLAP(オンライン分析処理)クエリーの効率化を図るCube Viewsというメタデータがあるが、Cognos ReportNetはこのCube Viewsとのブリッジ機能を実装することでDB2との親和性を高めたという。

 対応OSはUNIX(AIX/Solaris/HP-UX)およびWindows(NT4.0/2000/2003)、製品価格は496万円からで、フルドキュメント化されたSDK付属。APIを使ったカスタマイズで既存のERP製品との連携も可能で、SAP連携モジュール提供も予定されている。

(編集局 上島康夫)

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