MySQL、開発者が明かした今後のロードマップ

2003/9/12

MySQL AB 副社長のDavid Axmark氏

 MySQLの開発者でありMySQL AB(AB:アーベーは、スウェーデン語で“社”を意味する)創始者であるMicheal "Monty" Widenius氏とDavid Axmark氏の来日に伴い、「MySQL 創業者来日記念講演会」が9月8日開催された。すでに行単位のロックやトランザクションを実現し、着実な進歩を遂げている同製品の今後のロードマップや、予定されている機能追加、すでに実装が完了した機能の詳細について紹介された。

 現在MySQLには3.23/4.0/4.1/5.0の4つの系譜があり、すでに3.23はバグフィックス以外の修正は行われていない。現在多くのリソースは4.0/4.1/5.0に向けられている。4.0では新たにMultiple table DELETE/環境変数の動的変更/クエリーキャッシュ/Full Text Searchなどが実装され、4.1では副問い合わせ/GIS/カラム単位の文字コード指定/Prepared Statements/文字コードの変更を行うconvert()関数が追加されている。現在これら2つのバージョンは、新規機能の追加は終了し、バグフィックスとパフォーマンスの改善が作業の目標になっている。バージョン5.0では期待の大きいStored Proceduresが実装されており、現在BitKeeperを通してソースのみの公開が行われている。

 MySQLは古くから多くのプラットフォームに対応していることで知られているが、同じようにさまざまな開発言語のサポートにも万全であることが講演会で強調された。とりわけ、ODBCやJDBCには開発担当者が専任で従事しており、パフォーマンスの改善作業を行っていることが報告された。こうした取り組みを紹介するうえで同社が強調したのは、MySQLはMySQL ABが専任のエンジニアを雇い入れ開発しているプロダクトであり、いかなるボランティアコミュニティで開発されているものではない、という点であった。

 現在MySQLは配布の際にはコマーシャルライセンスとGPLが選択でき、コマーシャルライセンスは今回の講演会の主催者であるソフトエイジェンシーを通して購入できる。ソフトエイジェンシー 立岡佐到士氏は、同社が単なる契約代理店でなく、日本語の問題をはじめ、必ず事前に同社がチェックする体制を設けている点に触れた。最近では日本語使用に関して、4.0.13まではチェックが通らなかったため非推奨としていたが、4.0.14からは改善されており推奨とされている。

 その後MySQLユーザ会とのパネルディスカッションが行われ、ライセンスに対するMySQL ABの考え方、追加機能に対するスタンスなど、MySQLの普及をにらんだ討論が交わされた。その中でユーザ会からはライセンス形態が2種類用意されていることが、ライセンスについて分かりづらくしているのではないかという指摘や、既存のMySQLファンはそれほど高機能化を望んでいないのではないか、といった意見が飛び出した。

 ライセンス問題に対しMySQL ABのDavid氏は、「MySQLで利益を上げるならMySQL ABにも還元してほしい」と回答し、高機能化についてはMonty氏が「機能を取捨選択できるようなmakeスタイルは今後も継続する。強いては組み込み分野への対応にもつながるはずである」と回答した。


――MySQL ABの体制をお聞かせください

David氏 スウェーデン ウプサラに本社があり、そのほかアメリカ、フィンランド、ドイツに拠点を持っています。MySQL ABは15カ国で90人ほどを採用し、エンジニアの多くは在宅勤務です。われわれはMySQL ABの創始者であり、現在私は副社長(Vice President of Open Source Relations and Co-founder)で、MontyはCTOを務めています。

左からソフトエイジェンシー 立岡佐到士氏、Micheal "Monty" Widenius氏、David Axmark氏。今回の講演では、MySQLの名前の由来が、Monty氏の愛娘の名前・My(ミー)であることが明らかになった

――MySQL 4.0/4.1/5.0、それぞれの開発状況を教えてください

Monty氏 4.0はプロダクトリリースされており、4.1はその準備をすすめています。これら2つのバージョンはすでにバグフィックスとパフォーマンスの改善に的が絞られており、4.1は数週間でα版がリリース、1〜2カ月以内にはβリリースされます。5.0は追加機能の選定を引き続き行っており、ソースのみ入手可能となっています。

――すでにLAMP(Linux+Apache+MySQL+PHP)のようなエントリ市場では大きなシェアを獲得していますが、エンタープライズ市場でシェア拡大するための計画はありますか

David氏 Yahoo! Financeをはじめ、すでにこの分野でも着実に実績を積んでいると考えています。しかし、エンタープライズ市場でさらに何が必要かも見据えており、今後双方向レプリケーションやクラスタ化は優先して実装していきます。また OracleやPostgreSQLからMySQLへ移行するためのマイグレーションツールも今後提供していく予定です。

(鶴長 鎮一)

[関連リンク]
MySQL AB
ソフトエイジェンシー
MySQLユーザ会

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