他社が嫉妬しそうなデル、オラクル協力関係の中身

2003/9/19

 デルコンピュータと日本オラクルはパートナーシップを強化し、オラクルのOracle9iを組み込んだデルのIAサーバをパッケージとして共同で発売したと発表した。デルの法人営業とオラクルのオンライン営業部隊「OracleDirect」の一部を統合し、両社が共同で営業活動を行うことも発表。中堅企業を主なターゲットにUNIXやオフコンからの移行需要を探る考えだ。

デルコンピュータの代表取締役社長 浜田宏氏(左)と日本オラクルの代表取締役社長 新宅正明氏

 両社が発売したパッケージは、デルのインテル Xeon 2.4GHzプロセッサを搭載したIAサーバ「PowerEdge 1750」とOracle9i Database Standard Editionを組み合わせた構成。デルの1年間ゴールドサポートと、オラクルの1年間Standard Product Servicesが付属する。OSはMIRACLE LINUXとWindows Server 2003のどちらかを選択できる。MIRACLE LINUXを搭載したパッケージは75万5000円から。Windowsのパッケージは80万円からとなっている。Oracle9i、MIRACLE LINUXのインストールを依頼する場合は別料金が必要。Oracle9iは20万円、MIRACLE LINUXは15万円となっている。

 パッケージはほかにXeon 2.4GHzを搭載しメモリ容量を増やした「PowerEdge 2600」のパック(Linux版が158万7000円から、Windows版が163万2000円から)や、Xeon 2.4GHzを2個搭載した「PowerEdge 2650」のパック(Linux版が284万5000円から、Windows版が289万円から)もある。

 両社はオラクルのほかの製品についても同様のパッケージ製品を用意する。11月には「Oracle9i Application Server」とデルのサーバを組み合わせたパッケージ製品を発売予定。12月には「Oracle Collaboration Suite」のパッケージ、来年早々には「E-Business Suite」を組み合わせたパッケージを発売することを予定している。

 両社は営業活動も共同で行う。オラクルのオンライン営業である「OracleDirect」のエンジニアを、デルの法人営業に常駐させ、顧客への高度なシステム提案やコンサルティングを提供する。パッケージを購入した顧客に対して、Oracle9i Real Application Clustersなど、より高度な製品を提案する活動も共同で行う。OracleDirect本体にもデルを担当するエンジニアを10人程度配置し、デルからの問い合わせに即答できるようにする。また、パッケージ製品を購入した顧客からの問い合わせをデルの窓口に一本化。顧客が問い合わせ先で迷うことがないようにする。

 今回の両社のパートナーシップの強化は、「スケールアウト戦略」に基づく内容。従来の企業システムの構築が、ビジネスの成長を予測し前もって大規模で高価なサーバを導入する方法が多かったのに対して、スケールアウト戦略ではスタンダード技術を採用し、ビジネスの成長に合わせて徐々にサーバを追加していく。デルコンピュータの代表取締役社長 浜田宏氏は「従来はメインフレームやUNIXサーバなど企業のビジネスサイズに比例しないシステムが導入され、投資対効果が上がっていない」と指摘。「ビジネスの成長に合わせて、2way、4wayのサーバを追加することで高い投資対効果を実現できる。パフォーマンスは大型サーバを凌駕(りょうが)し、TCOは4分の1から最大6分の1になる」とメリットを強調した。

 デルはスケールアウト戦略に基づき同社の8wayサーバの販売を中止することを明らかにした。浜田氏によると8wayサーバはマーケット全体の中で1%を切るシェアしかなく、販売を続ける意味がないと判断した。スケールアウト戦略は、2wayや4wayの比較的小規模なサーバをビジネスの成長に合わせて追加していくのが基本。システム構築の初期投資が大きい8wayサーバはスケールアウト戦略に合致しないと判断したことも理由だ。また、8wayサーバにはインテルの特別なチップセットが必要で、価格を下げることが困難であったり、柔軟性が低いということも理由にあるようだ。

 日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明氏は両社のパートナーシップ強化で、数10億円の売り上げを目指す考えを示した。今回のパートナーシップ強化は日本独自の施策だが、パッケージ製品やOracleDirectの取り組みが成功すれば、「世界に拡大するだろう」と述べ、両社の米国本社に対してソリューションを提案する方針を明らかにした。

10gでもパッケージ製品を検討

日本オラクルの執行役員 クロスインダストリー本部長 桑原宏昭氏氏

 今回のパートナーシップ強化はOracle9iが対象。しかし、米オラクルは次期データベースの「Oracle Database 10g」を年内にも出荷する予定だ。今回のパートナーシップは10gに対応していくのか。日本オラクルの執行役員 クロスインダストリー本部長 桑原宏昭氏は、「10g登場後は、パッケージ製品の内容を再検討していく」と述べて、10gに対応した同様のパッケージ製品を両社で検討する考えを示した。桑原氏はデルについて、「オンラインビジネスに対するノウハウを豊富に持っている」と評価。「われわれはOracleDirectの活動で、ハードだけでなく、ソフトでもオンラインビジネスが利用できることを確信した。ハードのオンラインビジネスで実績があるデルと一歩踏み込んだパートナーシップを構築することで、最大の効果が出ると考えた」とパートナーシップの狙いを説明した。

デルの営業技術支援本部 本部長 長谷川恵氏

 また、デルの営業技術支援本部 本部長 長谷川恵氏はオラクルについて、「スケールアウト戦略の方向性とオラクルのソリューションが合致している」と説明。「今までOracle9i RACの営業を共同で行ってきて、非常にパートナリングしやすいという感触を受けた。足りない部分をお互いで補完していけるベストパートナーだ」と述べた。

 両社が発売するパッケージ製品で重視するのは顧客へのサポート体制だ。エンタープライズのサポートでは、トラブルに対する最初の切り分けが非常に重要。今回、問い合わせの窓口をデルに一本化したことで、「確実にトラブルを切り分けて、システムのダウンタイムを最小にできる」(長谷川氏)と見ている。問い合わせを受けたデルの窓口では障害を切り分けて、ハードの問題の場合はデルが対応し、ソフト障害はオラクルに連絡、OSによるトラブルはミラクル・リナックスに連絡する。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
デルコンピュータ
日本オラクルの発表資料

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