[SunNetwork 2003開催]
“高い”を否定するサンの新サーバ価格

2003/9/19

 サーバベンダとして、サン・マイクロシステムズがいま最も意識している競合ベンダは、ヒューレット・パッカードでもIBMでもなく、デルのようだ。サンフランシスコで行われているサンのプライベートイベント「SunNetwork 2003」の2日目、サーバとOSにフォーカスした基調講演では、新しく登場したエンタープライズ向け、ワークグループ向け、そしてグリッドサーバの3製品が披露された。サンの上級副社長でマーケティング担当のマーク・トリバー(Mark Tolliver)氏は、「もしこの会場にデルの社員がいたら、これらの製品のコストパフォーマンスに驚くはずだ」と、低価格攻勢を自賛してみせた。

サン・マイクロシステムズの上級副社長でマーケティング担当のマーク・トリバー氏

 多くの人がサンに抱くイメージは、価格は高いがハイエンドサーバ市場のリーダー、というところだろう。しかし、サンはコストパフォーマンスの比較で競争力があることを示そうとしている。デルを引き合いに出した理由の1つは、市場でのイメージを変えるためだろう。「新製品は、『サンは価格競争力がない。サンは高い』といった声に対する、はっきりとしたメッセージだ」(トリバー氏)。

 高性能のハードウェアとSolaris OSとの組み合わせで、ネットワークコンピューティングの基盤を強化していくのがサンの戦略だ。トリバー氏は、「Solarisは過去20年間、ネットワークコンピューティングの基盤だったという歴史がある」と、Solarisがネットワークコンピューティングをけん引するソフトウェアであることを強調。そして将来のSolarisの姿を基調講演の舞台上で明らかにした。

 その1つが、Solaris上に複数の仮想マシンを構成し、その仮想マシン上でアプリケーションを稼働させる「Trustedコンテナ」技術だ。コンテナ1つ1つがOSイメージとメモリ空間、IPアドレスを持つ独立したサーバとして動作する。「複数のブレードサーバの上で自由にコンテナを構成し、さまざまなアプリケーションを稼働させることで、強力なサーバ統合が実現する」(トリバー氏)。すでにSun Fireでは1つのマシンを複数の領域に分割して利用する「パーティション」機能があるが、パーティション機能はSun Fireのハードウェアに組み込まれたものだ。TrustedコンテナではSolaris OS上に仮想マシンを構築するため、ハードウェアに依存しない機能で、柔軟にリソースを分配できる。こうした機能を備えた次世代Solarisは来年に登場予定だ。

 そしてサンは昨年から、Solaris以外のもう1つのオペレーティング環境を持つようになった。ネットワーク、ストレージ、CPUといったリソースそのものを仮想化し、管理する「N1」だ。N1によって、ネットワーク上に散らばる大量のサーバ、ストレージなどのリソースを1つのコンソールから、あるアプリケーションやサービスのために自由に割り当て、変更、やり直しなどができる。N1担当副社長のデビッド・ネルソンギャル(David Nelson-Gal)氏は、「N1で“論理的な”データセンターを構築する」と、N1の機能を解説する。

 トリバー氏は最後に、「イノベーションにこそ賭ける価値がある」と、再びデルを意識したメッセージを聴衆に向かって投げかけた。サンはネットワークコンピューティングのためにSPARC、Solaris、そしてN1とイノベーションを繰り返しており、それが将来のブレイクスルーを約束している、とトリバー氏は訴える。「それによって、長い期間にわたって低価格、高性能な環境の提供が実現するのだ」(トリバー氏)。

----サンが発表した主なハードウェア

  • エンタープライズ向け「Sun Fire V440」
    最大4ウェイのUltra SPARC IIIiプロセッサと16ギガバイトのメモリを搭載可能、ラックマウント対応で9995ドルから
  • ワークグループ向け「Sun Fire V250」
    タワー型筐体で最大2ウェイのUltra SPARC IIIiプロセッサと8ギガバイトのメモリを搭載可能。1プロセッサと512メガバイトのメモリを搭載したベーシックモデルで2995ドルから
  • 「Sun Fire V60x」グリッドサーバ
    1U筐体で最大2ウェイのインテルのXeonプロセッサを採用、ギガビットイーサネットのポートを2つ備える。グリッド用ソフトウェア込みで、18万5000ドルから

(編集局 新野淳一)

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