サンのデスクトップ戦略はLinuxではなく、シンクライアント

2003/9/20

 サンフランシスコで開催されているSunNetwork 2003でサン・マイクロシステムズが発表した「Sun Java Desktop System」は、Linux、StarOffice、Mozillaなどの組み合わせで、Windows環境の置き換えを狙った製品であることは明らかだ。しかし、同社のマーケティング担当上級副社長 マーク・トリバー(Mark Tolliver) 氏によると、Java Desktop Systemは同社のデスクトップ戦略の一部でしかないという。

 Linuxを用いたデスクトップ環境(プロジェクト「Mad Hatter」)をサンが開発していることは以前から注目されていた。しかし、サンが独自のデスクトップ環境を構築する最大の目的は、単にWindowsの代替を用意するということではなく、同社のシンクライアントである「Sun Rayを推進するため」(トリバー氏)だ。1999年に最初の製品が登場したSun Rayこそ、同社のデスクトップ戦略の中核である。

SunNetwork会場に用意されたSun Ray。参加者は、配布されたJavaカードを差し込むことでSun Rayにログインし、Webブラウザや電子メール、StarOfficeなどを利用できる。Javaカードを抜くだけで作業は終了し、次に別のSun RayにJavaカードを差し込めば、さきほど作業していた画面が呼び出されて作業を継続できる

 Sun Rayは、ハードディスクなどのローカルストレージを持たないアプライアンス製品だ。起動すればJava Desktop Systemと同じように、Webブラウザや電子メール、オフィススイートなどが利用できる。しかもこれらのプログラムはすべてSun Rayに接続されたネットワーク上のサーバで実行するようになっており、Sun Rayはそれを表示するキーボード付きのテレビのようなものと形容できる。つまり、Sun Rayのスイッチを切っても画面が消えるだけで、アプリケーションやデータはサーバ上にあるため壊れることはない。Sun Rayの要は、こうしたデスクトップアプリケーションやデータがすべてサーバ上で集中管理されていることだ。

 Sun Rayはサン社内のほとんどすべてで導入され、実際に使われている。サン社内のインフラ構築を担当するビル・バス(William Vass)氏は、Sun Rayの利点を、ユーザーがソフトウェアやハードウェアなどの難しい設定に一切かかわることなく利用でき、Sun Rayさえ用意すればオフィスのどこでも、出張先のオフィスでも自分のデスクトップを呼び出せるところだとし、企業などにおけるデスクトップのTCOを非常に低く抑えられると同時に、特にいま企業を悩ませているセキュリティの問題も一気に解決できる、とした。

 しかしSun Rayは、発表から4年がたった現在でもほとんど普及していない。そして、Java Desktop SystemはSun Ray普及のためのカギだ。

 Java Desktop Systemのテクノロジを応用することで、Sun RayにStarOfficeやMozillaといった充実したデスクトップが提供された。そして現在、サンの研究所ではSun Ray機能をJava Desktop System上で実現すると同時に、Sun Rayのオフライン機能をJava Desktop System上で実現すべく両者のシンクロナイズを行うための技術を開発中だ。これらの機能向上によって「Sun Ray普及の阻害要因は徐々に排除されていく」と、サンのソフトウェア担当上級副社長 ジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏は語る。

 果たしてSun Rayは目論見通り普及するだろうか。Java Desktop Systemに対するこれからの市場の反応を見ることで、その先行きを占えるだろう。

(編集局 新野淳一)

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サン・マイクロシステムズ

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