VBAエキスパート資格は、日本のIT人材育成のため

2003/9/23

 マイクロソフトの「Office」に搭載されているマクロ言語の「Visual Basic for Applications」(VBA)を開発言語として考えるのであれば、最も一般に普及している開発言語の1つだろう。VBAのユーザー層は、ITエンジニアだけでなく、非IT企業の一般の従業員(いわゆる事務系スペシャリスト)などにも多いだろう。

 こうした層のVBAスキルを評価し認定するために生まれた資格がある。それはVBA協会が行うVBAエキスパートだ。現在VBAエキスパートには、Excel 2002とAccess 2002を対象にした初級者向けのベーシック、中級者向けのスタンダードがある。どちらも事務系スペシャリストをターゲットにしている。イメージとしては、マイクロソフトが行っているMOUS(Microsoft Office User Specialist)の上位の資格ととらえると理解しやすいだろう。

 事務系の人材派遣では、VBAなどのマクロ言語を理解しているかどうかで時給が異なってくるという。事務系の人材派遣の代表格ともいえるファイリング業務の時給は、ある人材派遣会社では1500円前後。ExcelやWordの操作は必須だが、要求されるレベルはExcelで簡単なグラフが作れる程度というように、要求されるスキルレベルはさほど高くはない。それに対してPCオペレーションでは時給は1800円前後となる。関数やVBAは必須で、金融業界などで多少の需要があるという。

VBA協会事務局長 大村あつし氏

 試験は4月17日にExcel 2002のベーシックとスタンダードでスタートし、その後9月にAccess 2002を追加した。試験開始直後は「受験者数が少なかった」と語るVBA協会事務局長の大村あつし氏だが、「試験対策本が発売されるようになり受験者数が大幅に増えた」と述べ、現在は受験者数が大幅に増えているという。

 今年4月のVBAエキスパートの発表時には、上級者向けの資格プロフェッショナルを今年10月からスタートする予定としていたが、大村氏よると「来年まで延期する予定」だという。プロフェッショナルが対象としているのは事務系スペシャリストではなく、メインはVBAなどを利用して開発するITエンジニア。延期の理由について「事務系スペシャリストの誤解を解きたいため、もう少し時間を置いて告知したい」ためだという。「事務系スペシャリストであれば、ほぼスタンダードで十分」と大村氏は述べた。

 事務系スペシャリストのスキルを評価し、採用企業にもそのスキルの指標を、ということで始めたVBAエキスパートだが、大村氏はこの資格によって、「ある程度のことは事務系スペシャリストに委ねればいい。開発会社にはVB(Visual Basic)やVBAの開発を主軸にしているところもあるが、もっと高度な開発に移行してほしい。それが日本のIT人材の高度化に役立ち、国際競争力強化にも役立つはず」と語り、VBAエキスパートには日本のIT人材の高度化を促す、という隠れた狙いも込めていたようだ。

(編集局 大内隆良)

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日本VBA協会

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