NTを2003に移行させるメリットは?

2003/10/7

マイクロソフト日本法人 代表取締役社長 マイケル・ロ ーディング氏(左)とマイクロソフト コーポレーション セールス、マーケティング&サービスグループ担当 グループバイスプレジデント ケビン・ジョンソン氏

 米マイクロソフトのセールスマーケティングおよびサービスを統括するケビン・ジョンソン(Kevin Johnson)氏(セールス、マーケティング&サービスグループ担当 グループバイスプレジデント)は1年の約半分を世界中に散在する顧客とのミーティングに当てている。「マイクロソフトが誇る研究・開発の成果を顧客企業のビジネスにいかに反映させるか」がジョンソン氏の使命だ。今回来日した目的も、日本国内の顧客の反応をすくい上げ、現行製品の効果的な導入、運営方法の提案や次世代製品へのフィードバックを行うためである。

 ラウンドテーブル形式の記者会見で重複した質問は、セキュリティ対策について。セキュリティ問題から波及するトピックとして、Linuxへの対抗策に関する質問も飛んだ。これらの質問は新聞、通信系ジャーナリストがすべからく興味を持つ話題である。特に、住民基本台帳ネットワークの脆弱性に対するマイクロソフトの姿勢、「(マイクロソフトの製品の)セキュリティの甘さ」というイメージが敷衍(ふえん)することで日本国内の政府機関、地方自治体がLinuxに注目を浴びせる状況について、ジョンソン氏は「マイクロソフトのビジネス上のトップ・プライオリティは依然、セキュリティにある」と発言、「2年前から取り組んでいるTrustWorthy Computingの成果は徐々に上がってきており、今後も最重要課題として取り組んでいくことに変わりはない」とコメントした。また、「そもそもウイルスに免疫を持つソフトウェアというものは存在せず、Linuxも例外ではない」とし、攻撃が集中するマイクロソフトの不利な状況を弁護する発言もあった。

 一般紙記者の時事的な質問のほかに、専門メディアの記者からは、Windows NT(NT)からWindows Server 2003(以下2003)へのマイグレーションにおける顧客側のメリットなどについての質問があがった。

 現在稼働中のNTを2003に移行させることは、現在マイクロソフトがワールドワイドで取り組む重要な戦術だが、日本においては企業における投資意欲の減退という全体的な問題もあり、少なくともマイクロソフトが満足するような結果を出せているとはいいがたい。NTユーザーの多さでは世界にも類を見ない日本では、2003へのマイグレーションは緊急課題で、今後リリースを予定する製品の利点を生かしきるには、2003というプラットフォームが必要なのは言うまでもない。加えて、Linuxを始めとした外部の「脅威」も懸念材料として指摘できるだろう。

 ジョンソン氏は「導入後の管理、運営コストの大幅な削減が2003へのマイグレーションの最大の利点だ」と話す。購入時の価格比較では確かにLinuxプラットフォームに軍配が上がるかもしれない。しかし、「TCOという観点からみれば、購入時の価格差は全体の5%程度のインパクトしかなく、より重要な効果は導入後に表れる」とする。米国で同社が実施したEarly Adopter Programの結果によると、2003に移行することで、多くのプログラム参加企業は、平均30%のTCO削減が実現したという。

(編集局 谷古宇浩司)

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