速く、安全で、快適なモバイル通信を実現する技術、野村総研

2003/10/15

野村総合研究所 ITアーキテクチャコンサルティング部 上席テクニカルエンジニア 舘野修二氏(左)、同CDNプロジェクト室 事業開発グループマネージャー 森本教稔氏(右)

 野村総合研究所(以下、野村総研)は10月14日、モバイル/ワイヤレス・ネットワーク環境に最適化した通信技術を開発、それをベースにした通信ミドルウェア「Mobiletune(モバイルチューン)」を11月に発売すると発表した。
 
 インターネットの標準プロトコルであるTCPは、有線のLAN/WANをベースに開発されたものであるため、利用環境や時間帯によって通信速度の変動やパケット到達遅延が大きく、移動中の基地局切り替えによる通信断が発生しやすい。その結果、モバイルユーザーからは「通信スピードが思ったように出ない」「移動中の通信切断により、何度も再受信する必要がある」「通信パケット量が多く、通信費が予想以上に高い」などの不満が出る結果となる。同社では、モバイル/ワイヤレス・ネットワーク用に最適化された技術と独自の圧縮技術をコンポーネント化したモバイル通信基盤を開発し、このようなモバイルユーザーのニーズに応える。

 「Mobiletune」は、TCPではなく、UDP(User Datagram Protocol)を活用する。一般的に、TCPは信頼性は高いが転送速度が遅く、UDPは転送速度は速いが、信頼性が低いとされている。だが、ワイヤレス・ネットワークではパケットの紛失が発生しやすく、TCPの利用は有効ではないという議論が最近では優勢だ。サーバ側のインフラに多少の投資が必要な点やベンダ間の実装が異なるため複数の端末やアプリケーション、ネットワークの管理が煩雑になるという欠点を差し引いても、モバイル/ワイヤレス・ネットワーク通信では、UDPに軍配が上がりそうである。

 野村総研では、UDPの特徴を生かし、輻輳(ふくそう)転送機能、再送制御機能、セッション維持機能、3DESによる暗号化を通信基盤に搭載し、セッションバインディング機能(HTTP)、リストバインディング機能(SMTP/POP3)といった同社独自のBindingコンテンツ圧縮機能を実装した「Mobiletune」を開発した。サーバ(Webサーバ、メール・サーバなど)とクライアント(PDAなど)の間にはさむ形で利用する。日本通信の「bモバイル」サービスがサーバ側でHTTP1.1に準拠した標準のコンテンツ圧縮技術を採用しているのに対し、「Mobiletune」は、クライアント側にモジュールを置き、上り/下り両面でのコンテンツ圧縮が可能な点が特徴である(HTTP1.1のデータ圧縮は下りのみ)。

 野村総研 CDNプロジェクト室 事業開発グループマネージャー 森本教稔氏は、同技術の適用市場について「証券、銀行、保険会社の営業、医療MRのモバイル通信や建設現場のメンテナンス、連絡用モバイル通信、車載通信システム、飛行機・列車などの移動体内のインターネット接続など多岐に渡る」とし、関連ビジネスを含め初年度10億円の販売を見込む。なお、「Mobiletune」の価格は最小構成(1サーバ/25同時アクセスユーザー)で400万円から。

(編集局 谷古宇浩司)

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