SIerが危機感、Webアプリの限界がくる

2003/10/18

 Eコマースサイトを始め、グループウェアなどさまざまな場面で利用されているWebベースのアプリケーション。クライアント側にソフトが必要でなく、ほとんどの処理はサーバ側で行われる。エンドユーザーが用意するのはWebブラウザだけと手軽さもあり、今後のさらなる普及が予想されている。しかし、「FlashとColdFusionMXによるエンタープライズ アプリケーション構築セミナー」(主催:マクロメディア、アットマーク・アイティ)で講演した野村総合研究所の情報技術本部 企画・業務管理室 主任ITデザイナ 三井英樹氏は「Webアプリは技術的に限界にきているのかもしれない。今後はデザイン、使いやすさが重要になる」と訴えた。

野村総合研究所の情報技術本部 企画・業務管理室 主任ITデザイナ 三井英樹氏

 三井氏は既存のWebアプリケーションについて、「機能やプラットフォームが標準化する中で、システム・インテグレータ(SIer)によるコストダウンは限界にきている」と説明。「多くのSIerにはWebアプリケーションに対して、何か新しい付加価値をつけなくてはならない、という危機感がある」と述べた。

 三井氏はWebアプリケーションの付加価値として、ユーザーインターフェイス(UI)のリッチ化を挙げた。企業システムにおけるUIは、ある意味”お飾り”のような存在で、バックエンドの機能に比べると軽視されてきた。しかし、三井氏は「申請フォームのUIの使い勝手がよくないと、入力間違いや、面倒な手入力が必要になる。そこに無駄が発生する」と述べ、「UIは生産性のショートカットだ」と指摘した。

 では、WebアプリケーションのUIをリッチにし、デザインと使い勝手を向上させるツールは何なのか。三井氏の考えは、Macromedia FLASHだ。FLASHは豊富なインタラクティブ性やWebサイトでの軽快さ、自由な表現力などで、すでに広く利用されている。システムのバックエンドに設置したアプリケーションサーバとの連携も可能になり、「SIerにとって見逃すことはできない」(三井氏)存在となった。

マクロメディアのサーバーテクロノジー マネージャー 須賀正明氏

 ただ、三井氏は「われわれSIerが苦労しているのはFLASHの開発スタイル」という。HTMLだけでWebアプリケーションを組むのと比較して、FLASHを使うとコストが20〜30%上がるという。UI設計やインタラクション設計に関するコストだ。HTMLのWebサイトと異なり、FLASHは開発途中でのUIの変更が難しい。あらかじめFLASH開発についての予算や工程を別に確保しておかないと、納期に間に合わなかったり、品質が下がるなどの障害が発生するという。

 WebアプリケーションにおけるFLASHの有用性については、同イベントで講演したマクロメディアのサーバーテクロノジー マネージャー 須賀正明氏も指摘した。須賀氏はFLASHを使ったSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)のシステムをデモ。HTMLベースのSFAではリンクをたどってさまざまなサービスを利用するが、FLASHを使ったSFAはページが遷移することなく、同一画面内でウィンドウが開き、機能を利用できる。須賀氏はFLASHを使ったSFAについて、「エンドユーザーの使い勝手が上がり、目的のサービスにたどり着くまでの時間を節約できる」と述べ、FLASHを使ったエンタープライズ・コンピューティングの可能性をアピールした。

(垣内郁栄)

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