「ストレージは決して高い買い物ではない」、カブドットコム

2003/10/25

 カブドットコム証券 代表取締役COO 齋藤正勝氏は「ストレージ・マネジメント・フォーラム」(主催:日経BPセミナー事業センター)で講演し、カブドットコム証券のストレージ活用の取り組みを紹介した。

カブドットコム証券 代表取締役COO 齋藤正勝氏

 カブドットコムがストレージの導入で受けた恩恵は大きい。カブドットコムが顧客に提供する携帯電話への株価情報通知は、1日当たり1万5000件に上る。齋藤氏によると、一般的なコールセンターでは、オペレータが1人当たり1日にダイヤルできる件数は50件が限界というから、オペレータ300人分の仕事を機械でまかなっていることになる。

 同社は合併を経験したが、「わずか2日間という限られたスケジュールで、両社のデータ統合に見事成功した」という。成功の理由として齋藤氏は、SAN(Storage Area Network)の構築と、それにより実現できるオンラインバックアップの存在を挙げた。カブドットコムのシステムは、オンライン取引を想定し、基幹系を含むすべてのシステムをオープン系システムで構築。TCP/IPで統一されたデータリポジトリをSANで構築し、リレーショナルデータベースシステム(RDBMS)で運用しているという。SANを構築したことで、システムを止めることなく、オンラインでのバックアップが可能となる。

 齋藤氏は、「ITサービス向上には、オンラインバックアップが何よりも大事。そのためにはストレージへの投資が必要不可欠」と強調した。齋藤氏の訴えの前提は、企業システムの運用では、障害や大幅なシステム構成の変更は避けられないということだ。カブドットコムのシステムでは、オンラインバックアップを5分に1度の割合で取っている。例えば、障害でシステムがダウンした場合、復旧までの間、データベースを更新させることは難しい。だが、バックアップを取っておけば、5分前までのデータには戻ることができ、損害を最小限にできる。

 「企業システムを増強しようとするとき、ソフトウェアでの改善と、ハードウェアによる増強は、比較にならない。ストレージはほかのIT資産と比較して、断然高い買い物ではある。だが、TCOを割り出して投資対効果を分析すれば、決して高い買い物ではない」と語り、カブドットコムのように、今後多くの企業がストレージやSANによる恩恵を受ける可能性を示唆した。

(編集局 富嶋典子)

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