携帯電話に非接触ICチップ搭載、ソニーとドコモ

2003/10/28

左からソニー 代表執行役 会長兼グループCEO 出井伸之氏、フェリカネットワークス 代表取締役社長に就任予定の河内聡一氏、NTTドコモ 代表取締役社長 立川敬二氏

 ソニーとNTTドコモは、ソニーが開発した非接触ICカード技術「FeliCa」(フェリカ)を携帯電話に搭載できる新型ICチップを開発する合弁会社を、2004年1月に設立すると発表した。新会社「フェリカネットワークス」は開発した新型ICチップをベンダにライセンスするとともに、サービスプロバイダがフェリカ搭載携帯電話を使って新しいモバイルサービスを提供するためのプラットフォーム構築を行う。NTTドコモは2004年夏にもフェリカ搭載の携帯電話を発売する計画。

 フェリカはソニーが1988年から開発している非接触ICカード。JR東日本の「Suica」など国内外の交通機関や、電子マネーサービス「Edy」などで採用されている。世界で3800万枚が利用されているという。

 フェリカネットワークスは資本金約60億円で、ソニーが60%、NTTドコモが40%を出資する。社員は90人程度でスタートする。主な事業は、携帯電話上でフェリカの機能を実現できるICチップ「モバイル FeliCa IC」(仮称)を開発し、携帯電話ベンダやサービスプロバイダにライセンス販売すること。フェリカのサービスと連動するサーバシステムの開発や、サーバのホスティングなども行う計画だ。NTTドコモの代表取締役社長 立川敬二氏はフェリカネットワークスについて、「すべてにおいてオープンな会社」だとして、KDDI、ボーダフォンにも開発したICチップを搭載させる方針を説明した。ソニー 代表執行役 会長兼グループCEO 出井伸之氏も「ソニー、NTTドコモだけでなくオープンに利用してもらえるシステムを作る」と述べ、業界の標準規格を目指す考えを示した。

 NTTドコモはフェリカ機能を搭載したPDC、FOMAの携帯電話を2004年夏にも発売する。今年末から試験サービスを行う計画で、サービス開始時には、現金を使わずに店舗などで決済できるEdyのプリペイド機能を携帯電話に盛り込む予定。Suicaとの連携やクレジットカード機能、社員証機能などを持たせる計画もある。将来的には発売する携帯電話のすべてにモバイル FeliCa ICを搭載する。フェリカネットワークスの代表取締役社長に就任する予定のソニー 河内聡一氏は「5000〜6000万のエンドユーザーを獲得するのが目標」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
ソニーの発表資料
NTTドコモの発表資料

[関連記事]
携帯電話で最大2.4Mbpsのデータ通信、KDDIが新サービス (@ITNews)
[ITU Telecom World 2003開催] 唯一の共通テーマは"不在" (@ITNews)
今から分かるICタグ 基礎編 (@ITNews)
実用化にらむ無線ICタグ、ユニシスが管理ソフト出荷へ (@ITNews)
日本発のスマートカードで、「国際市場の50%以上を獲得」 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)