「上の人に評判がいいIPコンタクトセンター」、HP

2003/10/31

日本ヒューレット・パッカードのテクニカルサポート統括本部 第一フィールドサポート本部 ソリューションサポート部 コンサルタント 柿本伸明氏

 日本ヒューレット・パッカードは今年5月、同社のコンタクトセンター「HP Directplus」を再構築した。シスコシステムズのIPベースのコンタクトセンター製品「Cisco IP Contact Center(IPCC)Enterprise Edition」が大規模コールセンターへ導入されるのは国内初。日本ヒューレット・パッカードのテクニカルサポート統括本部 第一フィールドサポート本部 ソリューションサポート部 コンサルタント 柿本伸明氏が、イベント「NETWORKERS 2003」(主催:シスコシステムズ)で説明した。

 HPはコンパックとの合併により、複数のコンタクトセンター、サポートセンターを抱えていた。そのため2002年10月からコンタクトセンターの統合作業に着手。プリセールスの効率化と、顧客からの情報の吸い上げ、製品販売が目的だった。

 コンタクトセンターを構築するうえで、HPが選んだのがシスコのCisco IPCC。Cisco IPCCはHPのアジア・パシフィック各国で利用された実績があり、また、アジア・パシフィック全域での統合管理が構想されていたことが選択理由の1つとなった。もちろん、HPは徹底した事前検証でCisco IPCCの使いやすさや耐障害性の高さなどをチェックした。

 HPはこれまでコールセンター専用機の「Aspect」でコンタクトセンターを運用していた。Cisco IPCCは、Aspectが備えている音声系機能をすべて再現することが求められたが、Cisco Call ManagerとCisco ICM、Cisco IP IVRで実現した。また、シーベルのCRMアプリケーションと連動させ、顧客管理システムとコンタクトセンターを連携させた。

 柿本氏が「IPベースならでは」と紹介したのが、通話記録の保存。IPベースでディスクに保存することでCTI(Computer-Telephony Integration)との連動が容易になった。また、Webベースのレポーティング機能があり、コンタクトセンターの管理者は、どこからでもレポートを見ることができるようになった。マーケティングやプロモーションでのデータ活用も可能になったという。

 Cisco IPCCを使ったコンタクトセンターの構築は、国内初ということもあり慎重に進められた。作業期間は7カ月ほどだったが、柿本氏は「予想以上に順調に進んだ。余裕を持ってプロジェクトを実施できた」と振り返った。HP Directplusの構築で実績ができたことで、柿本氏は「今後は4カ月程度で導入できるだろう」と述べた。

 HP Directplusは、今年5月にサービスインしたあともトラブルなく運用できている。顧客からの問い合わせや商談はすべてシーベルのアプリケーションで記録し、社内で共有。新聞広告への顧客の反応などをほぼリアルタイムに知ることができるようになり、「上の人ほど、コンタクトセンターを評価している」という。今後は電子メールとコンタクトセンターの連携などを計画している。

(編集局 垣内郁栄)

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