買収を繰り返し第2フェイズに突入するサンのN1

2003/11/11

 サン・マイクロシステムズは、次世代データセンター・アーキテクチャ「N1」の最新情報を発表した。N1とは、マルチベンダのストレージとネットワークが混在する企業情報システム全体を仮想化し、ソフト/ハード/アプリケーションの運用、展開、管理を自動化するためのアーキテクチャ。

サン・マイクロシステムズのプロダクト・マーケティング本部 本部長 山本恭典氏

 2002年9月に発表されたN1のロードマップでは、バーチャリゼーション、サービス・プロビジョニング、ポリシー・オートメーションの順に実現が予定されている。第1フェイズのバーチャリゼーションは、サンが7月に発表した仮想化ソフト「N1 Provisioning Server 3.0 Blades Edition」で実現。ストレージネットワーク、IPネットワーク、サーバの各リソースを仮想化できるプラットフォームが整った。

 今後は、第2フェイズに当たるサービス・プロビジョニングに対応した製品の出荷が始まる予定。サンでは「N1 Service Provisioning」「N1 Provisioning Server for x86 blades」「N1 Device Driver Kit」の出荷を予定している。これらの製品にはサンが今年8月に買収した米CenterRunのテクノロジが生かされる予定だ。サンはN1実現のため、これまでも米Pirus Networksや米Terraspringを買収し、製品のロードマップを補完してきた。

 サービス・プロビジョニングとは仮想化したリソースを必要なタイミングで、必要なアプリケーションに対して割り当てること。アプリケーションの設定、データベース、ミドルウェアのインストール、ビジネスアプリケーションの展開などを自動化する。サン・マイクロシステムズのプロダクト・マーケティング本部 本部長 山本恭典氏は、「企業のシステム管理者が運用のポリシーを決めれば、N1のサービス・プロビジョニング対応製品がネットワーク、OS、アプリケーションのすべてをつなげて、システムを“Ready”から実行可能な“OK”の状態に自動的に設定する」と説明した。

 山本氏は、「これまでの企業システムでは、アプリケーションの設定などの作業を全て手作業で行ってきた。原因追求が難しいシステムトラブルのほとんどは、アプリケーションやデータベースに起因している。逆にこれまでのベンダはこのサービスの運用管理をサポートすることで莫大(ばくだい)な利益を得てきた」と述べ、企業側にとって大幅なコスト削減となるサービス・プロビジョニングの優位性をアピールした。

 

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