BTOをどのように現実化するのか、マーキュリーの回答は

2003/11/12

 マーキュリー・インタラクティブ・ジャパンは11月11日、スイート製品「Mercury IT Governance Center」とERP導入の技術支援を行う「ERPサポートセンター」の開設することを発表した。この2つの発表から浮かび上がるのは、マーキュリーがテストツールだけを提供する企業ではない、というメッセージだ。

 実際マーキュリーはいち早くBTO(Business Technology Optimization:ビジネス・テクノロジの最適化)を提唱、同社の製品群もその戦略に基づいて再編し、テストツールからITシステム製品/サービスの要求定義から設計、開発、運用までを包含したビジネスモデルへと急激にシフトしている。

 今回同社が発表したMercury IT Governance Centerの目的も、こうした同社のビジネスモデルに沿っている。情報システムへの要求から開発、テスト、運用、評価、改善、破棄、そして再投資といったIT投資の循環を、一元管理できるようにするもの。これにより、自社のIT資産、IT投資の状況を経営者層、マネージャ層、事業部、運用部門、現場のエンジニアなどが同じ画面で把握、管理できるようになる。

マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン マーケティング ディレクター 河野真一氏

 具体的には、基盤ソフトの「ITガバナンスファンデーション」上に、Demand Management、Portfolio Management、Program Management、Project Management、Resource Management、Time Management、Financial Management、Change Managementという8個のコンポーネント(モジュール)が載る。そしてこれらを可視化・ビジュアル化するソフトである「ITガバナンスダッシュボード」を使うことで、経営管理者などがITシステムの状況を一元管理・把握しやすいようにする。ITガバナンス・センターの最小構成システムは、ITガバナンスファンデーションとITガバナンスダッシュボード、それに1つのモジュールが必要となる。

 同社によればIT環境の現状の計測は、「飛行機の計器と同じ」。パイロットは計器を見ることで速度、高度、方向などを知ることができる。それがなければ飛行機は墜落する。つまり、ITの管理にもそうした計器が必要という主張だ。ダッシュボードは、そのメタファーを具体化したもの。すべての状況を一画面で表示し、その画面でITの把握・管理ができる。

 ITガバナンス・センターの導入には、ITプロセス全体をソフトに合わせ再構築する必要がある。そのため、コンサルタントなどの導入支援が必要不可欠となる。このことについてマーキュリー・インタラクティブ・ジャパン マーケティング ディレクター 河野真一氏は、「その企業に合わせてソフトをカスタマイズする方法もあるが、ERPなどの導入では、いままで紙で行っていたプロセスをそのままデジタル化しろといった話があり、それでかなりERPベンダは苦労していた。そのため、こういうプロセスがあります、こういう基準値があります。できればそういうものに合わせませんか、という考えだ」という。そのため、Mercury IT Governance Centerを導入できる企業は、大手企業などに限られるかもしれない。

マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン サービスビジネス部 部長兼ERPサポートセンター センター長 吉政忠志氏

 マーキュリーが同時に発表したERPサポートセンターは、数社のERPベンダと協業し、大規模なERPシステムを確実かつ速やかに導入できるように自動テストに関する技術支援を行うための拠点。サポートセンターの開設は11月11日。

 サポートセンターの開設と同時に協業するのはSAPジャパン、オービックビジネスコンサルタント、住商情報システム、日本オラクルの4社。マーキュリーのERPサポートセンターのセンター長に就任したマーキュリー サービスビジネス部 部長 吉政忠志氏は、「(協業先を)さらに広げたい」と述べ、ほかのERPベンダやCRMベンダなどにも協業を呼びかけていく姿勢をみせた。

 ERPの導入を短期間に成功させるには、カスタマイズする部分をいかに少なくするかにあるといわれる。が、日本ではカスタマイズが開発工程のかなりを占め、ERPのシステムプロセス全体が複雑化する要因ともなっている。そのため、開発、導入段階でのテスト、導入後の変更、改善時のテストも複雑化し、ERPの導入、運用コストを高くしている。

 この改善に有効なのが、マーキュリーが提供しているテストツール群だという。具体的にはテスト管理ツール「TestDirector」、機能テストツール「WinRunner」や「QuickTest Professional」、パフォーマンステストツール「LoadRunner」、運用管理ツールの「Topaz」「SiteScope」がある。マーキュリーの説明によれば、それらの製品群を活用しやすい環境構築のためにERPサポートセンターを設立したと説明する。

 ERPサポートセンターが提供するのは、プリセールス時の支援(ROI予測値の作成支援、事前検証の実施、デモンストレーションの実施など)、導入時の構築支援(テストデータの作成支援、スクリプトのサンプル提供および作成支援、各ERP製品のパッチ対応情報)、トレーニングチケットの割引となる。支援はパートナーなどを通して行う。

 マーキュリーがこの2つの発表、活動で狙うのは、「全世界では3万社、500万ドルの売上高」(河野氏)のうち、3〜4%のシェアしか占めていない日本での売り上げ大きく伸ばすことだ。

(編集局 大内隆良)

[関連リンク]
マーキュリー・インタラクティブ・ジャパンの発表資料(Mercury IT Governance Center)
マーキュリー・インタラクティブ・ジャパンの発表資料(ERPサポートセンター)

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