地味だが肝、Oracle 10gのストレージ管理機能を探る

2003/11/14

 Oracle Database 10gに新しく搭載されるストレージ管理機能は、そのメインパートといっても過言ではないらしい。ストレージ関連のイベント「STORAGE NETWORKING WORLD/TOKYO 2003」(主催:IDGジャパン、Computerworld、SNIA)で11月12日、日本オラクル マーケティング本部 本部長 清水照久氏が「ストレージ・グリッドを実現するOracle Database 10g」と題してプレゼンテーションを行った。
 
 清水氏はまず、ストレージ管理で企業が抱える2つの問題を指摘。1つは、等比級数的に増える傾向のあるストレージに対して人間が管理できる容量には限界があるという点、もう1つはストレージ管理に関しては、データベース管理者、ネットワーク管理者、システム管理者などへさまざまな関係者がからみ、この間の調整が複雑であるうえに、コストもかかりがちという点だ。
 
 「これらの問題を他社はストレージ管理ツールを用いて解決しようとしているが、オラクルはデータベース本体でやる。これがオラクルからの回答」と清水氏。Oracle Database 10gのストレージ管理機能である「Automatic Storage Management」(以下、ASM)が担当するという。

 清水氏はプレゼンテーションの中で、ASMのロードバランシング機能を図版を用いて詳しく説明した。これはOracleがストレージをディスクグループという論理的な単位で扱い、全ディスクをメガバイト単位に分割、そこへデータを均等に配置する。そのため、ディスクのホットスポットの発生を回避でき、人手によるI/Oチューニングも不要になるという機能だ。ディスクを追加したら、今度はその全体に対して動的にデータのリバランシングが行われるため、常にディスクの使用容量を安定的な形で増加させることができる。
 
 そのディスクを追加する作業も、Oracle9iまではボリュームマネージャでボリュームを作成する、ボリューム上にファイルシステムを作成する、新しいディスクに移動するデータを決めるなど、さまざまなプロセスが必要だった。しかし、Oracle Database 10gからは、ボリュームマネージャやファイルシステムがあらかじめ組み込まれていることにより、OSにディスクを追加して、ADD DISKコマンドを発行するだけという単純な作業になる。複雑性は回避され、管理者の労務コストも低減できる、というわけだ。
 
 こうした管理を可能にするのは、新しく導入されたASMインスタンスというアーキテクチャだ。データベースを起動すると、1つのノードに対してDBインスタンスとASMインスタンスが立ち上がり、共通のディスクグループを管理する。ここでASMインスタンスはファイルのメタ・データ管理やリバランシングを担当し、それらのデータの配置情報をDBインスタンスに提供。これにより、DBインスタンスはアプリケーションがどんな動きで、どのディスクにアクセスしているかが常に把握できるため、自動I/Oチューニングが可能になるのだという。

 清水氏は「地味に見えるがストレージ管理は重要な機能。今回の新版で最も力を注いだ部分」と語り、“高まるストレージ管理ニーズに応えるOracle”を強調していた。

(吉田育代)

[関連リンク]
日本オラクル
STORAGE NETWORKING WORLD/Tokyo 2003
Oracle 10gが分かる特設コーナー

[関連記事]
2005年、すべてのストレージが統合管理される (@ITNews)
買収を繰り返し第2フェイズに突入するサンのN1 (@ITNews)
[ガートナー特別寄稿] グリッドとクラスタはどう違うのか? (@ITNews)
EMCがレガート、ドキュメンタム買収で目指す世界は (@ITNews)
「ストレージは決して高い買い物ではない」、カブドットコム (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)