鈴虫の鳴き声を聞き分けるIP電話機、沖電気

2003/11/18

 沖電気は従来のIP電話機より広い音声帯域で通話できるIP電話機の新製品「e音IPフォン」を発表した。通話可能な音声帯域は50Hz〜7000Hzで、従来のアナログ電話機の300Hz〜3400Hzよりも幅広い音声帯域に対応する。

アナログ電話で聞き取りづらかった「シャ、シュ、ショ」など子音が認識できるようになった「e音IPフォン」

 IPソリューションカンパニー プレジデント 執行役員 浅井裕氏によると、e音IPフォンでは例えば鈴虫の音までも拾えるという。浅井氏が「FMラジオ並み」だとアピールする通話音質の高さは、音声信号の圧縮処理技術の進歩や、マイクとスピーカーのハンドセットの機能を改良したことで実現した。

 しかし、広い音声帯域を利用するには通話する双方が同製品を使用する必要があるという課題は残されたままだ。また、音声符号化方式が、64kbit/s以下のデータ通信速度に対する7kHz音声符号化方式「JT-G722」のみだったり、呼制御もVoIP標準規格のSIPに未対応だったりとの課題もある。

 VoIP技術開発に対し、業界に先駆けて積極的に取り組んできた沖電気。今回の発表で浅井氏は「『情報・通信融合第1幕』の課題だった発信者番号通知、保留・転送機能など従来の電話機で実現できる操作はすべて実現した」としたうえで、同社がVoIP技術開発の第2幕であるVoIP通話における音声品質の開発に入ったことをアピールした。

(編集局 富嶋典子)

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沖電気工業

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