エンジニアに立ちはだかる“勘と経験と度胸”(KKD)の壁

2003/11/21

 ITサービスマネジメントの国際規格「ITIL」(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)を推進するitSMF Japan 副理事長 西野弘氏は、コンピュータ・アソシエイツが主催したイベント「サービス・マネジメント・フォーラム 2003」で講演し、ITILの効果について「ITエンジニアをKKD(勘と経験と度胸)から脱却させる」と説明した。

itSMF Japan 副理事長 西野弘氏

 ITILはITサービスの運用・保守のベストプラクティスの集合体。「ITサービスの計画、開発、提供、維持において継続的な改善をなし得る」内容だ。ほかのベストプラクティス集と異なるのは、その具体性。ITサービスにおけるさまざまな問題や、質の改善策について「何をすべきか具体的に書かれている」(西野氏)という。

 企業システム全体で、ITの運用・保守にかかるコストは全体の70〜80%を占めるといわれる。しかし、その運用・保守が効率的、低コストで行われているとはいえない、というのが西野氏の意見。明確な判断基準がなく、KKDで突き進むことが多い。例えトラブルが起きてプロジェクトが失敗しても、発注者と受注者、スタッフ間で責任のなすりつけ合いになる。

 西野氏はITILがITの運用・保守にもたらす効果について、「明確化、高品質、低コスト」を挙げるが、ITILの内容自体はこれまでのベストプラクティスと大きく変わらないという。「運用・保守のベストプラクティスを知識として整理し、属人的でなく実行できるようにした」のが特徴だ。最終到達目標を実現するための、管理ガイド、プロセス定義、具体的な解決策で構成される。

 西野氏らが日本のITエンジニアのスキルを調査したところ、テクノロジに関するハードスキルは高いレベルを記録したが、一方でマネジメントやリーダーシップなどのソフトスキルはほかの国と比較して劣っていたという。技術スキルはあるもののマネジメントに必要なスキルが不足しているというのが日本のITエンジニアの問題点のようだ。西野氏は「テクノロジの85%は共通プラットフォーム。それを活用してどのように企業や行政がよいサービスを提供できるかが問われている。だが、それは技術だけではなし得ないと断言できる」と指摘。「プロジェクト・マネジメント、サービス・マネジメントでは日本は成長途上」と述べ、ITエンジニアのサービス・マネジメントスキル向上の必要性を訴えた。

(編集局 垣内郁栄)

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