ミドルウェアのスイート化はBEAに福音をもたらすか

2003/11/22

 米BEAシステムズのインテグレーション部門ジェネラルマネージャ兼担当副社長 チェット・カプール(Chet Kapoor)氏は、「アプリケーション・プラットフォーム・スイート(APS)の市場でBEAは他社の2〜3年は先にいっている」と述べ、製品戦略の有効性を強調した。

米BEAシステムズのインテグレーション部門ジェネラルマネージャ兼担当副社長 チェット・カプール氏

 アプリケーション・プラットフォーム・スイートはガートナーが定義したソフト市場の新しいカテゴリ。SCM、ERPなど基幹系アプリケーションを構築するための基盤ソフトとしてアプリケーションサーバ、インテグレーションツール、ポータルで構成されるのが一般的だ。この構成に運用管理やコンテンツ管理、Webサービス管理などの各ツールが加わる。BEAはこの市場に「BEA WebLogic Platform 8.1J」を投入している。WebLogic PlatformはWebアプリケーションサーバの「BEA WebLogic Server」とビジネスプロセスのインテグレーション機能、ポータル機能で構成。この3つがそろうことで企業の情報システムを効率的、低コストで統合できる、というのがカプール氏の考えだ。

 企業情報システムを統合する場合に広く使われるのは一般的にはEAI(Enterprise Application Integration)ツールだろう。しかし、カプール氏は「インテグレーションと実際の構築作業は別々に考えられない」としたうえで、「EAIツールだけを提供しているベンダには開発ツールが抜けている」と述べ、EAIツールがトータルソリューションとして完成していないことを指摘した。「EAIツールは顧客ニーズの一部にしかこたえていない」という。BEAは、コンポーネントの再利用や標準技術、豊富なアダプタを用意した開発環境「BEA Weblogic Workshop 8.1J」を出荷している。

 同一基盤上にWebアプリケーションサーバ、インテグレーションツール、ポータルツールをモジュール的に組み合わせるAPSは今後広がるのか。ガートナーは「2008年末まで、ソフトウェア・インフラ製品の大半は、スイートに発展する」と予測。BEAはAPSの進展を見越して、3年前からアプリケーションのプラットフォームを共通化する作業を続けてきた。他社はプラットフォームが異なるため、孤立したミドルウェアをスイートとしてまとめても、APSの特徴である管理性や開発生産性の高さ、シンプルさは享受できないとカプール氏はいう。「世界中の顧客がこのソリューションを求めている」として、BEAはAPSへの傾倒を強める方針だ。

(編集局 垣内郁栄)

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