「焦点はJSFへ」、JBuilderの未来像

2003/11/27

米ボーランド シニア・プロダクト・マネージャ Java事業部 アクセル・クレーテル氏

 ボーランドが11月20日に発表したJava開発プラットフォーム「Borland JBuilder X」日本語版は、Java技術者向け統合開発環境(IDE)として現在の同社が考え得る限りのアイデアを注ぎ込んだ製品となっている。開発者個人だけではなく、開発チーム全体の連携機能を強化するため、設計・開発・テスト・運用・管理にまたがるJavaアプリケーション開発の全サイクルをこの1つのIDEですべて完結させてしまおうという意欲に満ちている。細かい部分では、Strutsデザイナを組み込んだ点が注目される。これにより、ドラッグ&ドロップによるビジュアル操作でWebアプリケーションの画面遷移の定義が可能となった。またJBossもサポートした。

 「Borland JBuilder X」のホワイトペーパーを詳細に検討するまでもなく、ボーランドの開発環境に対する視野は「全方位」という言葉に象徴される。つまり、豊富な機能を惜しげもなく1つのIDEに組み込み、また同社のほかの製品との連携をスムーズにこなすことで、あらゆるレベルの技術者のニーズに対応しようとする姿勢を貫こうとしているのだ。米ボーランド シニア・プロダクト・マネージャ Java事業部 アクセル・クレーテル(Axel Kratel)氏は、「例えば1999年ごろのJavaによるアプリケーションの開発現場と現在の開発現場の状況はまったく異なっている。当時は、初心者レベルのJava開発者が主流で、作業の主体はコード記述およびリファクタリングだった。しかし、現在では、開発プロジェクトの規模が拡大し、コード記述の作業と並行して、モデリングという抽象思考が必要とされる非常に複雑なものとなってきているのだ」と、Javaの開発環境を巡る状況を分析する。その結果、開発環境の専業ベンダとして、ボーランドが目指すのは、あらゆるニーズに応えられる製品ラインアップを構築し、それぞれの製品も多くの要望を満足させる仕様となるのである。クレーテル氏が「Borland JBuilder X」を評して「(航空機などの)コックピット」とするのもうなずける。

 「Borland JBuilder X」を巨大なIDEとして捉えるのは当然だろう。だがクレーテル氏はそのような印象をできるだけ排除したい考えらしい。つまり、たくさんある機能の中からユーザーが必要な機能を選択し、インターフェイスをカスタマイズすれば、結果的に非常に軽いIDEが出来上がるからだ。その逆はありえない。クレーテル氏は実際に自身のノートPC上で「Borland JBuilder X」の“変身”ぶりをみせ、「どちらも『Borland JBuilder X』である」点を強調した。

 J2EEがまさにWeb系エンタープライズ・アプリケーションのメイン・ストリーム技術となっているのは周知のとおりだが、ボーランドにはもう1つの製品ラインである.NET技術者向けの開発環境が存在する。サン・マイクロシステムズが、Webアプリケーションのインターフェイスを構築するためのフレームワークとして発表した「JavaServer Faces」(JSF)およびJSFを中核技術としたGUI系Webアプリケーション開発ツール「Project RAVE」の登場は、Webシステムのフロントエンド開発に強みをみせるVisual Studio .NETの市場を、Javaに引き寄せようとするサンの戦略の先鋒を務める存在である。ボーランドがこの動きに敏捷に反応するのも当然のことで、「Borland JBuilder X」のもう1つの側面をとらえるには「ビジュアル」という言葉を欠かすことはできない。クレーテル氏は「将来的にはJSFに焦点を当てて(JBuilderの)次期バージョン開発を行っている」と話したのはこのためである。

 Javaと.NETという2つの強力なプラットフォームの拮抗(きっこう)は、両者に対応する開発環境を提供するボーランド社内でも微妙な問題だろう。「.NETがどこまで大きくなるかわからないが、マイクロソフトという強力な企業が後押しをするのだから、ある程度の足場を築くに違いない」とクレーテル氏はあくまでJava開発環境担当者の立場で話す。ボーランドとしては、フロントエンド=.NET、バックエンド=Java、両者をつなぐ橋としてJaneva(ORBプロトコルであるIIOPを使って、.NET FrameworkベースのクライアントからEJBやCORBAなどへの接続機能を提供する)を用意し、どちらに転んでもすぐに起き上がれる体制をとっている。

(編集局 谷古宇浩司)

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