Office連携がIP電話のブレークスルーになるか

2003/11/27

 NECインフロンティアはWindows Server 2003、Microsoft Office Systemと連携し、Office上でほかのユーザーのプレゼンス情報を確認、IP電話をかけることができるコラボレーションツール「I_Teamesse」(アイティーメッセ)を12月18日に発売すると発表した。中小規模企業向けの格安パッケージを用意し、初年度に2000本の出荷を目指す。

「I_Teamesse」の利用画面。「Outlook」からユーザーの名前を指定し、IP電話をかける

 I_TeamesseはWordやExcel、PowerPointを使っている最中に、社内のほかのユーザーのプレゼンス情報を確認し、PCにインストールしたソフトフォンを使ってIP電話を直接かけることができる。Office Systemはソフト内にWindows Messengerが組み込まれていて、WordやExcelからメッセージを送信可能。I_Teamesseはこの機能を拡張し、名前を指定するだけでIP電話をかけられるようにした。I_Teamesseは相手の状況によって電話でなく、インスタントメッセージや電子メールを使うなど使い分けができ、より円滑なコミュニケーションが可能になるとしている。

 ユーザーの電話番号や電子メールアドレスは、ユーザーの名前にひも付けされる。例えば、Wordを使って会議の議事録を読んでいて議事録の発言者に連絡を取りたい場合、議事録のドキュメント内の名前を選択。クリックするだけでIP電話をかけることができる。I_Teamesseを導入していれば、Office製品以外の「メモ帳」などからでも名前を指定して電話をかけることが可能だ。

 携帯電話を使って外出先から社内スタッフのプレゼンス情報を確認する機能もある。携帯電話のWebサイト閲覧機能でI_Teamesseのポータルにアクセスし、ほかのユーザーのプレゼンス情報を確認。携帯電話から電話をかける。会社から携帯電話にコールバックさせる機能もある。会社からコールバックさせることで、社員の通信料負担を減らすことが可能。社員に携帯電話を配布できない中小規模企業向きの機能として採用された。

ビデオカメラを使えば複数ユーザーでのオンライン会議にも利用できる

 NECインフロンティアの第一事業本部 IP技術統括マネージャー 小林佳和氏は、他社のIP電話が情報系システムと孤立して機能していることを指摘したうえで、「企業が最も使うOffice製品とIP電話を連携させたのがI_Teamesseのブレークスルー」とアピールした。I_TeamesseはWindowsの標準APIに対応しているため、Office以外のアプリケーションと連携させることが容易で、NECインフロンティアではマイクロソフトと協力し、ソフトベンダに対してCRMやERP、SFAとの連携を働きかける。

 NECインフロンティアは、SIPゲートウェイとUSBハンドセット付きソフトフォン(5クライアント)、IP電話機(1台)をセットした導入パッケージを30万円で販売する。小林氏の説明では他社のIP電話の場合、ネットワークの構築やサーバの設置などで5クライアントの利用でも300〜400万円の導入コストがかかるという。

 通信料やメンテナンスコストの安さが注目されるIP電話だが、コラボレーション機能を強めることで、顧客企業に対して別のアプローチを提案できるか。成功すれば、IP電話の第2フェイズにつながるだろう。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
NECインフロンティア

[関連記事]
パワードコムとフュージョンが電話事業の統合を検討 (@ITNews)
鈴虫の鳴き声を聞き分けるIP電話機、沖電気 (@ITNews)
シスコがWeb会議システムに参入、IP電話と統合へ (@ITNews)
"IP電話が止まる"の悪夢を避けるには (@ITNews)
月1万円前後の中小企業向けIP電話、村井純教授が絶賛 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)