Windowsで基幹システムを開発、百五銀行が決断した理由は

2003/12/3

 日本ユニシスとマイクロソフトは、Windowsプラットフォームを使った金融向けシステムの共同プロジェクトを発足させたと発表した。共同プロジェクトのサポート第1号は、三重県を中心とする地方銀行、百五銀行がユニシスと共同で開発する勘定系を含む次期基幹系システムで、2007年度の稼働を目指す。日本ユニシスの代表取締役社長 島田精一氏は金融向けWindowsシステムの展開について、「初期コストは従来程度」としながらも「中長期的にはドラスティックなコスト削減が可能」と述べ、メインフレームを使った従来の基幹系システムと比較して、運用管理コストを大きく削減できることをアピールした。

左から日本ユニシス 代表取締役社長 島田精一氏、百五銀行 代表取締役頭取 前田肇氏、マイクロソフト 代表執行役社長 マイケル・ローディング氏

 ユニシス、マイクロソフトはWindowsプラットフォーム上での金融システムの検証を共同で行う。次期SQLサーバ「Yukon」(開発名)や次期Visual Studio「Whidbey」(同)の最新情報を共有し、ユニシスが持つ金融向けソフトを最適化する。ユニシスは金融向けWindowsシステムを担当する専任組織を設立。同社の金融向けオープンミドルウェア「MIDMOST」の機能を拡充する。マイクロソフトも金融向けにWindows製品を最適化する専門組織を設置。YukonやWhidbey、次期Windowsサーバに反映させる。マイクロソフトの米本社も、共同プロジェクトをサポートするチームを設置する。

 ユニシスとマイクロソフトは2000年3月に包括提携を結び、WindowsサーバとユニシスのIAサーバ「ES7000」の共同拡販や大規模システムの共同検証を行ってきた。マイクロソフト 代表執行役社長 マイケル・ローディング(Michael Rawding)氏は、今回のユニシスとの共同プロジェクトを「2000年のパートナーシップを次の段階となる金融向けに広げていく」と位置づけたうえで、「百五銀行の基幹系システム開発が1つの事例となり、金融基幹系システムのWindowsプラットフォームへの移行が、加速することを期待する」と述べた。

 2007年度中の稼働を目指す百五銀行の次期基幹系システムは、勘定系、コミュニケーションハブ、対外接続系、営業店サーバ、基幹系データウェアハウスの内容。Windows Server Datacenter Edition、Microsoft SQL Server、ユニシスのIAサーバ「ES7000」で構築する。百五銀行が要件定義を行い、ユニシスがシステム開発や検証、稼働後の運用・保守を担当する。ユニシスは銀行の各プロセスをコンポーネント化し、新サービスの追加などに柔軟に適用できるようにする。

 百五銀行の代表取締役頭取 前田肇氏は、Windowsプラットフォームで基幹系システムを開発する理由について「システムが環境変化に柔軟に対応できる。また、運用・保守をアウトソースすることで中長期的なコスト削減が期待できることを評価した」と説明した。

 ユニシスは百五銀のプロジェクトを手始めに、ユニシスが中心となって組織し、百五銀も参加する次期金融システムの検討・検証コンソーシアム「S-BITS」の参加銀行(秋田銀行、北越銀行、山梨中央銀行、紀陽銀行、大分銀行、鹿児島銀行)に対して、Windowsプラットフォームでの基幹系システム構築を提案する。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本ユニシスの発表資料(その1)
日本ユニシスの発表資料(その2)
マイクロソフトの発表資料
百五銀行の発表資料(PDF)

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