デマンド&レベニューマネジメント(DRM)という新キーワード

2003/12/3

マニュジスティックス・ジャパンのデイビッド G.フレンツェル社長

 的確な需要予測、精密な在庫調整、その結果としてのコスト削減を謳(うた)い文句に、サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)という言葉がにわかに脚光を浴びたのは5〜6年ほど前のことだった。そのころはちょうど、市場のデフレ傾向が鮮明になり始めた時期である。利益を拡大するために売り上げを拡大するという直線的な成長戦略に対し、多くの企業が疑義を呈し出したのもこのころである。

 既存の枠組みの中から利益を「搾り出す」仕組みとして、SCMに注目の光が当たったのも当然のことだろう。

 日経平均が1万円台を回復し、市場に“復活の兆し”が現れ始めた現在(1カ月後には2004年である)だが、それでも“デフレ時代”という名称を完全にぬぐい去ることはできない市場の状況がある。そろそろ、SCMに代わる新しい言葉、概念、そしてそのような考えを体現した製品が現れてもいいころだ。果たして、マニュジスティックス・ジャパンは12月2日、デマンド&レベニューマネジメント(DRM)なる言葉を日本に紹介した。

 DRMとは、SCMと同様「利益拡大のアプローチ」を根本的な背景とする考えだが、SCMと明らかに異なるのは、DRMが単価・販売量最適化や需要コントロールに主眼を置いている点にある。SCMの焦点が、欠品防止、供給側需給調整や適正供給によるオペレーションコストの削減といった“受動的”なアプローチだが、DRMは顧客セグメントごとに細かい最適価格を設定し、市場を作り出していく“能動的な”アプローチといえる。価格変更やプロモーションなどに対する“市場の反応”は極めて複雑で、かつ膨大な情報量を必要とする。この複雑なシステム体系を数学的にモデル化し、市場の流れを視覚化することが、マニュジスティックの使命である。

 同社が2004年夏ごろにリリースを予定するManugistics7シリーズ v7.2を導入することで、DRMの理論的な側面を具体的な解決策として活用できるようになるという。いわく、科学的手法に基づく一貫性のある需要予測と価格施策の立案、実施が行える。いわく、戦略が効果ある実行計画へと科学的に“翻訳”される、など。理想は常に素晴らしい。問題は、市場の需要予測を巡るこの新たな言葉、製品が、デフレ時代を生き残る真の解決策となるのか、どうかである。

(編集局 谷古宇浩司)

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