オーバーチュア、検索型広告市場の覇者としての役割

2003/12/9

 検索型広告というネットバブル崩壊後の大ヒット商品を武器に、オーバーチュアが日本国内でのさらなる存在感の強化を模索し始めている。2003年7月に本社の米オーバーチュア・サービシズが米ヤフーに16億3000万ドルで買収されたとはいえ、オーバーチュア代表取締役社長の鈴木茂人氏によれば「(米Yahooは)親戚みたいなもの。彼らがわれわれのビジネス活動に絡んでくることはない」のであり、あくまでオーバーチュアはオーバーチュアとして、最大の仮想敵であるGoogleを視野に入れながら、検索型広告ビジネスの推進を行っていく。

 オーバーチュアの検索型広告商品「スポンサードサーチ」の基本的な考えはGoogleのアドワーズ広告と一緒である。クライアントが検索キーワードを購入し、テキスト広告を検索結果に合わせて表示させる秀逸なアイデアの産物だ。

米オーバーチュア・サービシズ オーバーチュア・インターナショナル プレジデント ブライアン・スティール氏

 ともあれ、検索結果によって広告が表示される構造は、広告業界が常に頭を悩ませてきたターゲットの絞り込みという課題を、完全とはいえないが、かなりクリアしているといえよう。巨大な費用をかけた表現力豊かな広告とは裏腹に、貧弱とも受け取れるテキスト表現と小額コストというこれら検索型広告商品の構造は、アイデアが枯渇気味だった広告業界およびインターネット・ビジネス業界に希望をもたらした。いつか誰かがたどり着いたであろうアイデアであろうとも、だ。

 試行錯誤の末に金の鉱脈を見つけ出したオーバーチュアにとって、検索広告市場全体の伸びは、今後の同社の良好なビジネス展開を考えるうえで、非常に重要な要素である。大きな賭けに勝ったら、危険な勝負はできるだけ避け、慎重になった方がいいのかもしれない。ゆえに、「インターネット広告市場=成長し続けるバラ色の市場」というイメージをオーバーチュアはアピールする。つまり、地盤固めである。ある市場でリーダーシップを発揮する企業は必ず、率先して地盤固めを行うものだ。

 米オーバーチュア・サービシズ オーバーチュア・インターナショナル プレジデント ブライアン・スティール(Brian Steel)氏は例えば、電通のデータを引用しながら日本の広告市場に占めるインターネット広告の市場の行方についてこのようにコメントしている。「日本の広告市場は4750億ドル(2002年オーバーチュア)。このうち、インターネット広告は1.5%の7億400万ドルに過ぎない。すなわち、今後市場が拡大する余地はあまりにも広大だということだ」。

(編集局 谷古宇浩司)

[関連リンク]
オーバーチュア

[関連記事]
Googleと全面対決、オーバーチュアの新サービス (@ITNews)
Googleに対抗、課金型の新検索サービスが来年にも上陸 (@ITNews)
新社長に聞く、「Googleで働くには?」 (@ITNews)
日本語処理にこだわるgooの検索機能 (@ITNews)
ダブルクリック、電子メール広告市場に活路 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)