「ようやくVBを超えた」、IBMの新開発ツールが提供開始

2003/12/10

「みんなのJavaにしたい」と語ったIBM ソフトウェア事業 WebSphere事業部長 山下晶夫氏

 Java陣営にとって「Visual Basic(VB)のように簡単な開発ツールの実現」は、長年の夢だといっても過言ではない。しかし、ついにその夢が実現する時がやってきたという。12月9日にIBMから提供が開始される開発ツールは「ようやくVBを超えるに至った」(ソフトウェア事業 WebSphere事業部長 山下晶夫氏)とIBMが宣言する製品だ。

 その製品は「WebSphere Studio Application Developer V5.1.1」(以下WebSphere Studio)で、ユーザーインターフェイスなどを定義するためのJavaの新しいフレームワーク「JSF(JavaServer Faces)」を採用したことにより、VBライクな機能を実現している。「Java人口を増やしていくために、その環境を作っていく」(山下氏)。

 新しいWebSphere Studioでは、画面にオブジェクトやコンポーネントを配置し、属性などを設定していくことで開発が進んでいく。例えば、フォームに対して入力フィールドのコンポーネントを配置し、その上に任意のデータオブジェクトをドラッグ&ドロップするだけで、入力フィールドから入力された内容がオブジェクトに代入されるコードができあがり、定義されたユーザーインターフェイスに従ったHTMLも動的に生成される。

「WebSphere Studio Application Developer V5.1.1」の開発画面。中央の画面フォームに対して、右側のJSFコンポーネントなどをドラッグ&ドロップしてユーザーインターフェイスを定義していく(画面をクリックすると拡大表示されます)

 いままでは、JSPやサーブレットによるHTML生成機能をコーディングすることでWebブラウザ上のユーザーインターフェイスを生成してきたが、JSFの登場でそれは大きく変わるという。「JSFの登場で、プログラマはサーブレットやJSPを利用してコーディングすることはなくなるといえる」(ソフトウェア事業 クロスブランド事業推進 米持幸寿氏)。

 さらにIBMは、JSFを土台にしたリッチクライアントのデモも披露した。ノーマルなJSFではユーザーインターフェイスはHTMLによって表現される。しかしIBMはこのJSFのコンポーネントをカスタム化し、Webブラウザ上での入力チェック、リターンキーで移動できる入力フィールド、数値の3けたのカンマ区切り表示、IMのコントロールなどをJavaScriptで実現する予定だ。これ以外にも、Flashと連携して動的に変化するグラフなど、さまざまな技術とコンポーネントを検討しているという。いままでVBアプリケーションや業務端末などで実現されていた便利な機能が、Webブラウザでも容易に実現することになる。

 こうしたリッチなユーザーインターフェイスも、開発者はIBMが提供するカスタムコンポーネントを画面上に配置するだけで済み、コードを書く必要はない。これらは今後順次IBMより提供が開始される予定だ。

 これら新機能のカギを握るJSFはまだJava標準化プロセスの途上にあるため、WebSphere StudioのJSF関連機能はベータ版として提供される。JSFの標準化は来年の前半に終了する見通し。また、サン・マイクロシステムズも「Project RAVE」と呼ばれるJSFベースの開発ツールを進めており、これもVBライクな製品として登場する予定で、ドラッグ&ドロップによる画面フォーム作成、カスタムコンポーネントによるリッチクライアントなどが予想される。WebSphere Studioと機能的に真っ向からぶつかりそうだ。

 「大量のVBプログラマをなんとかJavaプログラマに」というJavaベンダの願いに対し、JSFの登場でその環境が整いつつある。果たしてこれから、Java人口の大幅増となるだろうか。

(編集局 新野淳一)

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