i2を去り製造業ERPに希望を託すマピックスの津村新社長

2003/12/10

 製造業向け業務アプリケーションを提供するマピックスは、新たに津村謙一氏を代表取締役社長に迎え、「ERPパッケージベンダから、顧客の要望に沿ったソリューションを提案する“ソリューションベンダ”」への拡大路線を発表した。今期7億円、2006年度には18億円の売り上げを目指し、ワールドワイドにおける日本市場のポジションを3年で10%、5年で15%まで伸ばす。

マピックス代表取締役社長に就任した津村謙一氏

 津村氏はSCMベンダ大手、イーエックスイー テクノロジーズの設立に携わり、2003年4月から10月までi2 テクノロジーズジャパンの代表取締役副社長を務めた経歴を持つ。その実績を引っ提げ、マピックスのビジネスを盛り上げていく方針だ。「米国のリサーチャーによると、ERPは一部の有力ベンダ/SIを除いてもう終わりという声が聞かれるが、中堅ベンダの伸びも依然として高い。当社も製造業に特化している強みを生かし、まだまだこの市場を伸ばしていく」(津村氏)と意欲をみせる。i2後、マピックスに就任した背景には、こうした理由も控えているようだ。

 具体的には、20社以上あるパートナー企業と共同で(1)サポートセンターの強化、(2)トレーニングセンターの開設、(3)ソリューションコンサルティング部隊の新設を進める。これに伴い、現在技術コンサルタントの採用を積極的に行っている最中だという。もちろん“技術コンサルタント”とはいっても国内製造業に明るいことが条件。欧米と異なり、日本の製造業では生産管理とロジスティクスシステムを一体化して導入する傾向がある。そのため、工場内の製造業務から運送に至る一連の業務プロセスに通じているコンサルタントが望まれる。これにより、「製造業のニーズに沿った最適なソリューション」が提案していくわけだ。目標は「2006年に80名体制にする」(津村氏)という。

 マピックスは1978年に米IBMの一部門として誕生し、その後分離独立。もともとはIBM AS/400上で稼働する生産管理システム「MAPICS SCM」などを提供していた。2000年には生産スケジューラを開発・提供していたPivotpoint、そして2003年に.NETベースのERPパッケージベンダFrontstepを買収し、製造業の業務プロセスをほぼ網羅。またIBMとマイクロソフト、両方のプラットフォームをサポートすることで、技術・ビジネス双方のニーズにきめ細かく対応できるようになったという。

 製品の特徴としては、70カ国1万社の導入実績を背景に、19カ国語に対応していること。国内では海外展開を図る製造業や現地法人に強く、「主要エレクトロニクス企業はほとんど当社のユーザー」(津村氏)という。引き続き海外にも拠点を置く工業部品やエレクトロニクス、航空関連企業などを中心にビジネスを展開、併せて約130社の既存顧客企業の満足度向上に務める方針。2004年第1四半期には、旧FrontstepのERPパッケージ「MAPICS Syteline ERP」を投入する構えだ。

(編集局 岩崎史絵)

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マピックスの発表資料

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