日本HPと日本BEA、二度目の握手を交わす

2003/12/11

 日本ヒューレット・パッカードと日本BEAは12月11日、Webアプリケーションを中核とした企業のITインフラ構築で協業体制を強化すると発表した。両社がJ2EEを基盤としたWebアプリケーション構築分野で協業すると発表するのは今回が2回目。レガシーシステムの置き換えや企業のシステム統合需要をターゲットとし、両者のJ2EE分野における最強の「仮想敵」である日本IBMを想定した、Webアプリケーション市場でのシェア拡大を狙う体制の再構築にあるとみられる。

日本ヒューレット・パッカード(左)と日本BEAの首脳陣(右)

 両社が協業のキーワードとして繰り返したのが「サービス指向アーキテクチャ」、あるいは「サービス指向の企業ITインフラの構築」というフレーズである。いずれにも「サービス」という言葉が含まれている。将来的には、インフォメーション・テクノロジを構成するハードウェアやソフトウェアという要素の存在感が限りなく薄まり、総体としてのシステムが提供するさまざまな機能、すなわちサービスが主体になるだろう、との市場予測が両社の間にあるようだ。つまり、ハードウェアやソフトウェアのブランドを守ることで成長してきたIT業界(の企業)が次の10年を生き抜く術がこのサービスなる言葉にこめられている。ハードウェアやソフトウェアに依存するビジネス体質からいかに脱却し、サービス指向なる新たなキーワードを売り文句としたコンサルティング・ビジネスを展開できるかどうか。当面はこの分野がIT業界に属する企業の焦点となる。

 さて、両社の新たな協業関係は、3つの施策を実施することで維持される。すなわち、インテルのItaniumプロセッサをプラットフォームとした64ビットWebアプリケーションの構築活動、J2EEエンジニアの啓蒙と育成、企業内システムの統合製品の提供の3点である。
 
 これらの施策により、日本BEAは、HP-UX対応Itanium版WebLogic Server 8.1Jを発売、日本HPでは3OS(HP-UX、Windows、Linux)対応のItanium版WebLogic Server 8.1Jを2004年1月に発売し、さらにWebLogic Server 8.1JをバンドルしたHP Advantageシリーズを2004年1月15日に発売するなど、クロスした販売体制を敷く。

 J2EE技術者の育成については、日本BEAが提供する開発者支援プログラム「BEA dev2dev」をベースとした情報提供やセミナーなどを両社の協力のもと展開、日本HPでは特に現在150人いるBEA/J2EEエンジニアを2倍に増強する計画である。

 日本ヒューレット・パッカード 代表取締役社長兼COOの樋口泰行氏は「サービス指向アーキテクチャの採用によって、これまで別々に発展してきたIT技術を統合する。今後はそのような時代である」と述べ、両社の協業“第2弾”に意欲をみせた。

(編集局 谷古宇浩司)

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