[eWEEK] 波紋を呼ぶ米HPの事業部統合計画、その行方は?

2003/12/23
Jeffrey Burt, and Paula Musich

 米ヒューレット・パッカード(HP)が下したサービスとエンタープライズシステムの両事業部を1つの事業部に統合する判断に対し、賞賛と疑問の両方の声が挙がっている。

 会長兼CEO(最高経営責任者)のカーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)氏は先週ニューヨークで開催された金融アナリストとのミーティングの中で、HPの中でも力のあるサービス事業部と、激しい競争に巻き込まれているハードウェアグループとの統合を発表した。この新事業部は、技術ソリューショングループと呼ばれ、サービス、ソフトウェア/ハードウェアサーバ、およびストレージデバイスを取り扱う。

 フィオリーナ氏は社員向けの連絡メモに、HPが自社の業務を投資家にとって一段と透過的にできるようになるなど、この措置は多くの理由から理にかなう、と記している。「このように一段と総合的なグループに分類することで、自社の構造を簡略化し、(HPのユーティリティコンピューティング構想である)Adaptive Enterpriseを一段と効果的に提供できるようになる」(フィオリーナ氏のメモ)。

 HPに近い情報筋によると、同社は6カ月前から組織改革を進めており、特別調査団を結成してこの処置を監督してきたという。

 技術ソリューショングループのトップはサービス事業部担当執行副社長のAnn Livermore氏で、エンタープライズシステムズグループのトップだった執行副社長のPeter Blackmore氏は、カスタマーソリューショングループという新たに統合されたHPの営業部隊を指揮する。

 HPのブレードサーバを利用するITアウトソーシング企業、CenterBeamの社長兼CEO、Kevin Francis氏によると、両グループの合併は、HPの販売する製品自体に変化があるわけではなく、これらの製品の売り方が変わるだけだという。Francis氏はカリフォルニア州サンタクララで、「HPは、自社の顧客に最大限の価値を提供することに重点を置く顧客中心の組織へと移行しつつあり、これはCenterBeamが掲げる“顧客第一”の哲学と完全に一致する」と語った。

 しかし、アナリストのRichard Ptak氏によると、HPはほかの技術ベンダが過去に失敗してきた組織構造を目指しているのかもしれないという。

 ニューハンプシャー州アマーストのPtak、Noel & Associatesの会長であるPtak氏は、「HPは米DEC(デジタル・イクイップメント)が失敗し、米コンパック(コンピュータ)でも試みたが失敗した戦略を再現しようとしている。この戦略ではサービス、システム、そしてソフトウェアを低価格でバンドルして提供する。これは、かなり低いハードウェアのマージンをサービスのマージンで相殺するのが狙いだ。だが、問題はサービスの価格設定だ。競争力の高い価格設定でサービスを提供することは非常に難しい。実際のサービスコストを正確にトラッキングすることが難しく、利益を確保できていないのに確保できていると思いこむことは簡単だ。DECがまさにそうだった」と語った。

 HPは、昨年5月に米コンパックを190億ドルで買収して以来、エンタープライズシステムズグループのてこ入れに取り組んできた。同グループは、40億7000万ドルの売上高から1億600万ドルの利益を計上した前四半期まで、5四半期連続で赤字に耐えてきた。対照的に、HPのサービスグループは同四半期に32億3000万ドルの売上高から3億9300万ドルの利益を計上している。HPは先週行われたミーティングで、10億ドル以上の新たなサービス関連契約を発表している。

[英文記事]
HP Melds Services, Systems:Plan to merge units gets mixed reaction.

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