PCベンダのテレビ参入は「脅威でない」、松下社長

2004/1/10

 米大手ハードベンダのテレビ市場参入が続いている。PC市場で圧倒的な存在感を持つデルが液晶テレビを発売。ゲートウェイも参入した。また、モトローラが約30年ぶりに米国のテレビ市場に再参入、インテルがテレビ向けのチップを開発するなど新規プレーヤーも増えている。もちろん韓国、中国のベンダも低価格製品を中心に米国や日本市場への攻勢を強めている。だが、松下電器産業の代表取締役社長 中村邦夫氏は「競争は激化するだろう」としたものの、「日本のテレビ開発は50年の歴史がある。他社や他国にはまねができないブラックボックス技術がある」と述べ、自社製品への自信を見せた。

松下電器産業 代表取締役社長 中村邦夫氏。大阪本社から東京会場に映像が中継された

 松下電器は2006年度に売上高8兆2000億円、連結営業利益率5%以上を目指す新しい中期経営計画「躍進21計画」を発表。中村氏は発表会見の中で、PCベンダのテレビ市場参入について「ネット販売が今後10年伸びるのは間違いない。新しいビジネスモデルは研究していきたい」としながらも、「だからといってパソコンからテレビを手掛けてもお客さまが満足できるか」と指摘。「脅威とは受け取っていない」と述べ、新規参入メーカーが松下電器を脅かすことはないとの認識を示した。

 中村氏の自信の源はこれまで培ってきたテレビの独自技術だ。特に中核部品となるシステムLSIを自社開発、生産している点が他社との差別化ポイントと考えている。中村氏はデバイス部品の自社開発で「短期間で製造から販売まで移ることができる」とデバイス事業のメリットを強調した。松下電器は富山県魚津市にシステムLSI工場の新棟を2005年末に建設する計画を発表した。約1300億円を投じる新棟で、他社との差別化の源泉となるシステムLSIへの注力を印象付けた。松下電器は、600億円を投資したプラズマディスプレイパネルの茨木第2工場(大阪)を2004年4月に稼働させる予定。増産投資を続け、2005年度に150万体制を確立することを目指す。

 中村氏が営業利益率の向上に不可欠と指摘したのは生産性のアップだ。工場など直接部門の生産性向上だけでなく、サプライチェーンや社員1人1人の仕事の仕方など間接部門に対しても生産効率を上げる必要があると指摘。中村氏は「ITによる生産性向上を目指し、1200億円を投入してきた。今後も投資を続けたい」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

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松下電器産業の発表資料(PDF)

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