トレンドの新アプライアンス、ネットスクリーンと強力タッグで

2004/1/16

 トレンドマイクロは1月15日、ウイルス対策、ファイアウォール、VPNを統合したセキュリティアプライアンス製品「Trend Micro GateLock Remote Appliance 3000」と「Trend Micro GateLock Remote Appliance 5000」を2月16日から受注を開始すると発表した。

 トレンドマイクロが今回のアプライアナス製品を開発、販売するに当たって協業したのは、米ネットスクリーン・テクノロジーズ。IDC Japanが2003年に発表した2003年上半期の「国内セキュリティアプライアンス市場動向」によれば、ネットスクリーンの出荷金額では国内のセキュリティアプライアンスサーバの25%を占めてマーケットシェアは1位。

トレンドマイクロの代表取締役社長兼CEO スティーブ・チャン氏(左)と米ネットスクリーン・テクノロジーズ 社長兼CEO ロバート・トーマス氏

 ネットスクリーンが他社のセキュリティソリューション・ベンダと異なるのは、「ほかのベンダがPCに対するソリューションしか提供していないのに対して、そのほかにも提供していること」や「(アプライアンスなどの)OSとして独自のリアルタイムOS『NetScreen ScreenOS』を搭載し、ほかの一般的なOSを搭載するよりも安全」と述べたのは、米ネットスクリーン・テクノロジーズ 社長兼CEO ロバート・トーマス(Robert Thomas)氏だ。同社の日本法人代表取締役 原田英昭氏はさらに「ASICベースなので高速でセキュア」な点を挙げた。

 トレンドマイクロの代表取締役社長兼CEO スティーブ・チャン(Steve Chang)氏はネットスクリーンを協業相手に選んだ理由として、「トレンドマイクロ(の製品)では防げない脅威」にあったと述べ、同社の技術力を高く評価した。ネットスクリーンのDeep Inspection技術(IDP:Intrusion Detection and Prevention、不正侵入検知防御機能)は一般的なファイアウォールを通過した不正なパケットをアプリケーション層まで精査、防御でき、トレンドマイクロ製品の機能を補完する。ネットスクリーン側から見てもトレンドマイクロのウイルス対策ソリューションを得ることができるメリットがある。

 現在のウイルス感染は、ネットワーク型という第4世代に移行、本社などを防御できても、リモートオフィス(支店や営業所、SOHO、自宅からの企業へのアクセスを含む)からのアクセスにより、ウイルス感染する可能性が高い。トレンドマイクロによれば、実際に本社などでウイルスに感染し、その駆除を終えた後、こうしたリモートオフィスなどから再感染することが多いという。さらに、こうした場合に利用する回線として普及しているのは、ADSLなどのブロードバンド回線だ。

 中小規模の企業などでは、こうした回線を利用するからといって、VPNやファイアウォール、セキュリティ対策を行えるような人材は少ないし、そもそもIT専任者を置くことも少ない。そのため、こうした企業に対しては、これらのソリューションを安価で容易に導入でき、簡単に管理できるソリューションが求められている。そこで必要な機能をトレンドマイクロは製品に搭載し、こうした層を取り込む狙い。さらに企業にサービスを提供するISPやMSP(Managed Service Provider)などへも売り込みを図っていく。

GateLock 3000
GateLock 5000
接続可能なクライアント数 最大5ユーザー 最大10ユーザー
ウイルス検索 HTTP、SMTP、POP3、Webメール
VPN 性能 10Mbps 20Mbps
暗号化方式 3DES(168ビット) 3DES(168ビット)
トンネル数 最大1 最大10
ファイアウォール 性能 50Mbps 70Mbps
セッション数 最大1000 最大2000
寸法(mm) 215.9(W)×25.4(H)×127(D)
電源 ACアダプタ(消費電力12W)
質量 454g(本体のみ)
システム要件 GateLock 3000/5000を集中管理するには、管理側のシステムに管理コンソール(付属品)が必要
標準価格(税別) 9万2000円 14万8000円
システム仕様および要件

 なお、ネットスクリーンもGateLock 5000とほぼ同じ機能を搭載した「NetScreen-5GT」を販売する。GateLock 5000とNetScreen-5GTとで機能が異なるのは、管理コンソールの部分。ただし、どちらの管理コンソールでも両社の製品を管理できる。

 トレンドマイクロでは、今年3月までに新しいクライアント/サーバ管理製品を発表、その製品からも管理できるようにする。

[関連リンク]
トレンドマイクロの発表資料

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