ジェームズ・ゴスリングがいま一番興味のあること

2004/2/20

米サン・マイクロシステムズのバイスプレジデント兼サン・フェローのジェームズ・ゴスリング氏

 米サン・マイクロシステムズのバイスプレジデント兼サン・フェローのジェームズ・ゴスリング(James Gosling)氏は現在、開発ツール部門のCTOという職に就いている。Javaが普及することによって、開発者が切実に求めているのは統合開発環境(IDE)だろう。IBMが開発の中心を担ったEclipseは、オープンソースのIDEとして、開発者から圧倒的な支持を受けている。同社でもゴスリング氏を旗振り役にして、IDE開発に積極的に取り組んでいる。

 同社が展開するIDE(あるいは開発ツール)の流れは3つあり、1つ目は汎用IDEとしての「NetBeans」であり、2つ目はエンタープライズデベロッパ向けの開発環境である「Java Studio Creator」、そして3つ目「Enterprise Studio」ということになる。このうち、J2EE環境におけるIDEとして強敵であるEclipseと直接競合するのがNetBeansだろう。

 デベロッパ・プラットフォーム担当シニアバイスプレジデントのリッチ・グリーン(Rich Green)氏は「確かにEclipseは素晴らしいIDEだ。今後もさらに豊富なプラグインが組み込まれ、J2EE環境のIDEとして使われ続けることになるだろう」と賞賛の念を隠さない。しかし、米サンがEclipseコミュニティに参加しているわけではない。「参加しようと考えたことはあったが、このコミュニティに参加するということは、NetBeansへの膨大な投資を放棄することである」(グリーン氏)という理由から、参加を見合わせたのだった。
 
 とはいえ、米サンとしてIDEを開発するからには、「あくまでオープンであり、標準にはこだわりたい」(グリーン氏)。JSR(Java Specification Request)をいかに効果的にツールに取り込むか(グリーン氏は“ツーラビリティ(toolability)”なる言葉で表現)、また各ベンダが提供するツール同士の互換性をいかに実現するか、という問題の解決は、Javaを取り巻く開発環境の共通の課題ともなるだろう。「1つのプラットフォームで、複数のツールを選択することができるなら、結果的にツールの性能は向上し、コストが削減され、いい意味での競争力が生まれる」とグリーン氏は指摘する。なお、NetBeans 3.6のリリースは近日中を予定し、同4.0についても、コードのリファクタリング機能を搭載するなどの強化を行い、2004年中盤にはリリースすることができるとグリーン氏は話す。

 ところで、現在、ゴスリング氏にとって最もコメントの数が多いのは「JPL(Jet Propulsion Laboratory:managed for NASA by the California Institute of Technology)」における火星探査ローバーでのJava技術の応用という話かもしれない。Java Technology Conference 2004 featuring Sun Tech Daysの2日目であるゴスリング氏のビデオ講演の内容も実はほとんどが、火星探査ローバーによるデータ収集にいかにJava技術が利用されているか、という点に集中していた。

(編集局 谷古宇浩司)

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