ITの技術トレンドは未来のビジネスニーズを反映しているのか

2004/2/26

米ボーランド デベロッパー・リレーションズ・バイス・プレジデント デビッド・インターシモーネ氏

 2月25日から開催しているBorland Conference Tokyoに合わせ、米ボーランド デベロッパー・リレーションズ・バイス・プレジデント デビッド・インターシモーネ(David Intersimone)氏が来日した。米ボーランドのチーフ・エバンジリストでもあるインターシモーネ氏は、現在のIT分野におけるトレンドとその課題について、自身の考えを披露した。

 独立系のツールベンダである米ボーランドにとって、ITのトレンドを追うことは自社の製品戦略を考えるうえで欠かすことができない要素だが、ITの状況だけをみていればいいというものではない。同社のツールを活用して開発されたシステムを利用する一般企業のビジネストレンドも、同社の製品戦略に大きな影響を及ぼす。
 
 インターシモーネ氏は「ITのトレンドは、今後生まれてくるビジネスニーズを反映したものである」とややIT業界にとって都合のいいロジックを駆使する。が、確かにITのトレンドとビジネストレンドとに相関関係はまったくない、と考える方が不自然かもしれない。つまり、インターシモーネ氏および同社にとっては、最先端のITトレンドをサポートすることは、ビジネスシーンにおいても、最先端を走ることができるというメッセージを込めたいところだろう。

 このような視点を背景に、インターシモーネ氏はIT分野における現在のトレンドを5つ挙げ、その課題を指摘しながら自らの議論を展開する。
 
 インターシモーネ氏が挙げたITにおける現在のトレンドは「CMM」「オフショア開発」「MDA」「SOA」「オープンソース」の5つ。いずれのキーワードも現在のIT分野を代表するものだが、インターシモーネ氏によれば、これらのトレンドにはリスクや困難な要素、不安点が必ず存在するという。例えば、「SOA」に関しては、現段階ではまだソフトウェアシステムそのものの柔軟性が確保されているとはいえない、と指摘する。また、大規模なプロジェクトではコストがかかり過ぎる場合が多く、さらに、(SOAとは)CORBAに新しい服を着せただけではないのかという意見、セキュリティやトランザクションについての標準化が未成熟である、などの不安要素をも指摘する。

 とはいえ、インターシモーネ氏はマイナス面だけをあげつらうわけではなく、米ボーランドとして、これらのトレンドを実現段階まで押し進めていく作業に積極的にかかわっていることを強調している。とかく、ITのトレンドは、キーワードが先走りして、メディアがこぞって紙誌面に採り上げる段階では、ほとんど実用の目処さえ立っていないのが“トレンド”であるともいえるのだが、そのような漠然とした概念的な存在としての技術をいかに具体的な製品としてまとめあげ、リリースしていくか、そこにこそ、同社のような企業の存在価値がある。インターシモーネ氏(当然、米ボーランドも)はIT分野に関するさまざまなトレンドに対し、厳しい目を向けながらも、自社製品のラインアップが、完全とはいえないまでも、このようなトレンドをサポートする方向で開発されていることを強調するのである。

 例えば、同社は25日に新製品として、JBuilderにUMLモデリングツールであるTogetherを統合した「Borland Together Edition for JBuilder X Developer」と、EJBを活用するような大規模J2EE開発プロジェクト向け統合開発環境「Borland Enterprise Studio 7 for Java」を発表したが、このような実際の製品が出てくる数年前から「UML」「モデリング」「EJB」「Servlet」「JSP」、といった言葉がキーワードとしてIT分野のトレンドだった。トレンドが確実に顧客が満足して使える製品やサービスにまで成熟するには時間がかかる。
 
 インターシモーネ氏はこのようなトレンドの嵐の中で米ボーランドが慎重な立場を取りつつ、しかしできる限りのサポートを行っていくことを強調した。

(編集局 谷古宇浩司)

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