HPが32/64ビット互換プロセッサ採用、Itaniumの呼び水に

2004/2/26

 日本ヒューレット・パッカードは、64ビットプロセッサ「AMD Opteron」と、インテルが開発した64ビット拡張機能を搭載した32ビットプロセッサをそれぞれ採用したProLiantサーバを発売する方針を2月25日、発表した。HPはインテルと64ビットのItaniumプロセッサを共同開発するなど64ビットの推進役だけに、AMD Opteronの採用、インテルの64ビット拡張32ビットプロセッサの採用は、HPの大きな戦略転換ともとれる。しかし、HPは「低コスト、高パフォーマンスの顧客ニーズにこたえた」として、「サーバの基本戦略に変わりはない」と訴えている。

日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリスタンダードサーバ製品本部 プロダクトマーケティング部 部長 香取明宏氏

 HPは32ビットに互換性を持つ64ビットプロセッサAMD Opteronを搭載したラックマウント型のサーバ「ProLiant DL145」を今年上半期中に発表する。1/2wayのサーバでハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)などでの利用を見込んでいる。さらに上半期中にはOpteronを搭載し、64GBのメモリを載せた4wayサーバ「ProLiant DL585」を発表予定。またProLiantファミリでOpteronを搭載した2wayのブレードサーバの製品化を計画している。

 HPは、2月中旬に米国で開催されたIDFでインテルが発表した64ビット拡張機能(64bit extention)に対応した32ビットのXeonプロセッサを採用することも発表した。今夏に同プロセッサを搭載した1/2wayのProLiantサーバを発表予定。4/8wayのProLiantサーバも2005年に発表する。

 日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリスタンダードサーバ製品本部 プロダクトマーケティング部 部長 香取明宏氏は、32/64ビット互換のプロセッサを使うことで顧客企業は、「32ビットプロセッサのメモリ限界である4GBを超える処理が必要になる大規模データベースなどで、高パフォーマンスが期待できる」と説明した。HPではコストパフォーマンスがよいOpteron、既存顧客が多く信頼性が高いインテルの64ビット拡張Xeon、と両プロセッサの大まかな位置付けは設定しているようだが、顧客の要求やニーズでどちらかのプロセッサを推薦するとしていて、明確な役割分担はないようだ。

 顧客にとってプロセッサの選択肢が広がることは基本的には歓迎できる。ただ、32ビットのメモリ制限をなくしたプロセッサが普及することで、顧客がItaniumの64ビットプロセッサに移行する時期が遅れることはないのか。HPはItaniumを搭載したサーバとしてIntegrityファミリを展開中で影響も心配される。しかし、香取氏は「ItegrityとProLiantのポジショニングに変更はない」と断言した。

 香取氏によると、インテルのXeonがムーアの法則の1.1倍の速度で性能向上しているのに対して、Itaniumは2倍以上の速度で開発が進んでいて、パフォーマンス、信頼性の差は大きい。「本当にミッションクリティカルな業務ではやはりItaniumが支持される。既存のXeonプロセッサの顧客もいつかは64ビット環境に移行せざるを得ないのでは」という考えで、インテルの64ビット拡張Xeonプロセッサが、64ビットにフル対応したItaniumの拡大を妨げることはない、という認識だ。

米HPのVice President & General ドノバン・ニケル氏

 Itaniumの拡大を妨げるばかりが、HPにはOpteron、インテルの64ビット拡張Xeonプロセッサを搭載したサーバで、Itaniumへの移行を早めたいという思惑がある。米HPのVice President & General Manager,Hardware Systems Technology Division,Business Critical Systems,Enterprise Storage & Servers ドノバン・ニケル(Donovan Nickel)氏は、Opteron、インテルの64ビット拡張Xeonプロセッサを搭載したProLiantサーバについて「アプリケーションの64ビット対応が進み、Itaniumの採用が増えることを期待している」と話し、「32ビットと64ビットは補完的に作用するだろう」と指摘した。32/64ビット互換のプロセッサが使われることでソフトベンダの64ビット対応が進み、Itaniumの利用環境が充実してくることを期待しているのだ。

 HPは、MIPSプロセッサを搭載しているNonStopサーバをItaniumベースに移行させる方針も発表するなど、32ビットのx86プロセッサと64ビットのItaniumにサーバのラインアップを徐々に集約していく方針で、「x86の進化が64ビットシステムの普及を促進する」(香取氏)とみている。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本ヒューレット・パッカードの発表資料(その1)
日本ヒューレット・パッカードの発表資料(その2)

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