GMPLS実用化は3年後? 世界初の実験で「大きなステップ」

2004/3/18

 文部科学省 国立情報学研究所(NII)と日本テレコムは、次世代のネットワークプロトコルとして期待されているGMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)をベースにした共同実験を行い、ネットワークに障害が発生した際にルーティングを再構成し、障害を回避する「全光パスリルーティング」に世界で初めて成功した、と3月17日に発表した。さまざまなベンダの通信機器が混在した環境でのGMPLSの相互接続性も確認。NII 教授の浅野正一郎氏は「2007年に大学・研究機関向けネットワーク『スーパーSINET』の世代交代が行われる。そのときに最も有効な技術を使いたい」と述べ、GMPLSを使ったネットワークが2007年を目処に実用化されるとの考えを示唆した。

共同実験のネットワーク構成図(クリックで拡大します)

 共同実験はGMPLSネットワークの主要構成機器である光クロスコネクト装置(PXC:米カリエント製、三菱電機製)と、波長多重伝送装置(WDM:NEC製)、IPルータ(シスコ製)を組み合わせてGMPLSネットワークを構築。GMPLS実現の課題の1つとされる機器間の相互接続性を確認した。研究室内の光ファイバだけでなく、WDM間は実際に敷設された30キロ超の光ファイバを使って伝送実験を行った。

 共同研究では、GMPLSネットワークに障害を発生させる実証実験も行った。IPルータ間のネットワーク上で障害が発生すると、GMPLSを構成するプロトコルの1つでシグナリングを監視する「RSVP-TE」が障害を検知。リンクを管理するプロトコル「LPM-WDM」がパスを削除する。次いで、ルーティングを制御するプロトコル「OSPF-TE」が迂回路を検索し、パスを自動で再構築し通信を復旧する。この全光パスリルーティングでは障害発生から7秒以下で通信を復旧できる。浅野教授によると、現行のMPLSでは障害発生時にリルーティングし復旧するまで60秒ほどかかるという。浅野教授は、「GMPLSネットワークはプロトコルを改良することでさらに4〜5秒は短縮できる」と述べた。

文部科学省 国立情報学研究所 教授 浅野正一郎氏

 日本テレコム 戦略企画本部 情報通信研究所 次世代網システム部 部長 笠史郎氏は「SONET/SDHではあらかじめパスを設定しておかないと障害発生時に迂回路を見つけることができない」と指摘。そのうえで「GMPLSでは光通信網に動的なネットワークトポロジ探索を導入することで、耐障害性が向上する。大規模災害発生時にも通信ネットワークを自律的に再構成させることが可能になる」と述べ、「この研究成果はGMPLS技術を使った次世代ネットワーク実現へ向けての非常に大きなステップだ」と強調した。

 また、同社 常務執行役 戦略企画本部 副本部長 中野豊氏は「今回の共同実験をベースに法人向けなどのネットワークサービスを実現するには、ネットワークがより安定することと、汎用的なアプリケーションを実行できるようになることが条件となる」と指摘。「2007年がいいタイミングではないか」と述べ、3年後を念頭にサービス化を目指す考えを示した。

 NIIと日本テレコムは今後も共同研究を行う計画で、GMPLSを使った学術研究アプリケーションの開発や、GMPLSネットワークの管理・運用性技術の研究などを行う。

(編集局 垣内郁栄)

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文部科学省 国立情報学研究所
日本テレコムの発表資料

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