「ハイエンドはItanium」路線を堅持、インテル

2004/4/10

 インテル主催の開発者会議Intel Developers Forum Spring 2004 Japanが、4月7〜8日の2日間にわたり千葉県浦安市のホテルにて開催された。同社のエンタープライズ戦略や新技術、新製品などについて行われた発表をまとめた。

◇ 64bit対応Xeonは間もなく登場、Windowsもサポートを表明

基調講演の壇上に立つ米インテルのアジェイ・マルホトラ氏。Itanium路線健在を力説した

 インテルのIA-32に64bit機能拡張を施す64bit Extentionを初めて搭載する予定の次世代Xeon(開発コード名:Nocona)は、数カ月以内に市場に登場する。Xeonでは初めて、DDR2とPCI-Expressのサポートが行われる予定。Noconaはデュアル・プロセッサ版のXeonであり、マルチ・プロセッサ版Xeonでの64bit Extentionサポートは2005年になる見込みだ。

 気になるのは、64bit ExtentionのOSでのサポートだ。米インテル エンタープライズ・マーケティング&プランニング・ディレクタのアジェイ・マルホトラ(Ajay Malhotra)氏の基調講演において、マイクロソフトは2004年夏に出荷予定のWindows Server 2003 SP1で、現行のItanium 2に加え、64bit Extentionのバイナリ・サポートも行う計画であると発表した。これにより、NoconaユーザーはWindows上で従来のアプリケーションに加え、64bit向けに最適化されたアプリケーションも利用できることになる。このマイクロソフトが夏に配布するバイナリは、同時にAMDのOpteronのサポートも行われると考えていいだろう。

 これでインテルは、Itanium 2、64bit対応Xeonと2つの64bit製品を同時に持つことになるわけだが、ユーザーとして心配なのは、今後どちらのプラットフォームに対して投資を行えばいいかという点だ。マルホトラ氏によれば、「Itaniumのメリットは、大容量キャッシュ・サポートなどによる大規模環境でも耐えられる信頼性だ。ライバルは、UNIXマシンやメインフレームである。比較的ローエンドなシステムには、従来どおりXeonを推進していく。もし今後、Itaniumの価格性能比が向上して(Xeonと)十分に対抗できるレベルまでいけば、そのときItaniumのさらなる拡大に努めていくつもりだ」と、インテルとしては当面の間、2者両立作戦を進めることを明らかにした。「Itaniumを途中で止める可能性はないのか?」という質問に対しては、「インテルが今後のロードマップを提示している以上、(その範囲で)ないと考えていいだろう」と答える。

 Itaniumのロードマップとしては、2005年に24MBの大容量キャッシュを搭載し、90nm製造プロセスを採用したデュアル・コア対応の次世代Itanium(開発コード名:Montecito)と、同プロセッサをサポートするシステム・プラットフォームBayshore(開発コード名)の登場が控えている。その後には、マルチ・コア対応のTukwila登場が待っており、インテルはマイペースにItaniumの拡張を続けていくつもりだ。

◇ Itanium 2ブレード・サーバが登場

 IDFの展示会場では、Itaniumや関連技術を用いた興味深い新製品がいくつか紹介されていた。

 1つは、基調講演でも紹介されていた、世界初のItanium 2搭載のブレード・サーバだ。NECが開発したこのブレード・サーバの試作機は、Itanium 2を2基搭載したブレードを最大9枚収容可能で、10Uサイズのシャーシに納められている。試作機では、Red Hat Linuxがインストールされていた。まだ試作機という段階ではあるが、今後NECでは、Itaniumシステム製品拡充の一環としてブレード・サーバを提供していく計画だという。

 2つ目は、富士通ブースで紹介されていた10ギガビット・イーサネットを用いたクラスタ・システムだ。従来、クラスタの構築には高価なインターコネクトと呼ばれる技術が用いられていた。インターコネクトが高価な理由は、メーカー独自の技術によるものであり、普及することで単体価格が低下するという市場原理が働かなかったためだ。そこでコンピュータ業界では、クラスタ構築にかかるコストを削減するため、共通規格としてInfiniBandを推進していた。だが、推進役の1人だったインテルがInfiniBandの代わりにPCI Expressの推進を始めたため、InfiniBandを使って安価なインターフェイスを開発するという試みは頓挫している状況だった。最近になり、安価な10ギガビット・イーサネットを用いてクラスタを構築する手法に注目が集まるようになり、研究が行われるようになっていた。

 今回、富士通が展示した10ギガビット・イーサネットによるクラスタ・システムでは、最近標準化が行われた同軸ケーブル・ベースの10GBASE-CX4を用いるという、光ファイバよりも安価な手法が採用されている。担当者の話によれば、従来まで数Gbps以上の速度を実現するにはInfiniBandしか方法がなかったが、10GBASE-CX4やこれから登場するツイスト・ペア線を用いた10GBASE-Tを利用することで、InfiniBandはもちろんのこと、光ファイバ・ベースの10ギガビット・イーサネットより安価にクラスタ・システムの構築が可能になるという。

(鈴木淳也)

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