アライドテレシスの大ばくち? IPv6製品に開発費の70%投入

2004/4/23

 アライドテレシスは、IPv6対応製品の開発に今後3年間の研究開発費の70%を投入し、2007年までにIPv6対応製品の売り上げを現状の15億円から300億円に大幅に引き上げる新しい事業戦略を4月21日、発表した。IPv6対応の低価格エッジスイッチを武器にサービスプロバイダや自治体、医療関係への売り込みを図る。

アライドテレシス 代表取締役 高木弘幸氏

 アライドテレシス 代表取締役 高木弘幸氏はIPv6の現状が数%の普及にとどまっていることを指摘したうえで、「スイッチの性能と価格がIPv6普及の課題になっている」と説明。「われわれの手で解決できる」と強調した。

 アライドテレシスがIPv6普及の切り札としているのが、2004年3月に発表したエッジスイッチ「CentreCOM 8948XL」とハードによるIPv6のルーティングを実現する「IPv6アクセラレーターボード」。パケットのルーティングはコアスイッチ部分で行うことが多いが、コアスイッチは高額でサービスプロバイダなどが簡単にIPv6対応スイッチにリプレースできない。コアスイッチと比較して低価格なエッジスイッチを使いIPv6のルーティングをさせることで、サービスプロバイダなどの導入を容易にするというのがアライドテレシスの狙いだ。

 CentreCOM 8948XLはIPv6アクセラレーターボードと組み合わせることで、ワイヤスピードに当たるギガビットクラスのIPv6ルーティングが可能。アライドテレシスは本体とIPv6アクセラレーターボード、電源、ファンをパッケージにした「CentreCOM 8948XL IPv6トライアルキャンペーン」を5月中旬に出荷する。価格は税込み104万7900円。アライドテレシスによると、IPv6に対応したファウンドリーネットワークス製「NetIron 4802」は395万9000円、将来IPv6に対応するとしているシスコシステムズの「C3750-48TS-E」は163万8000円で「圧倒的に低価格」(アライドテレシス)としている。

 また、2004年第4四半期(10-12月)には10GbEポートを2つ搭載し、ハードによるIPv6ルーティングを可能にした「CentreCOM 9900シリーズ」を出荷する予定。価格は未定だが、「必ず他社製品よりも低価格にする」(アライドテレシス)としている。

 認知は進んでいるが実証実験段階から抜け出せないといわれているIPv6。アライドテレシス 上級執行役員 営業本部長 長尾利彦氏によると、世界のIPv6の普及はわずか2%だ。長尾氏が示したIPv6普及のための条件は、ビデオ会議、PtoPなどアプリケーションの充実と、ファイアウォール、認証などセキュリティ機能の向上、そして高性能、低価格なインフラの構築の3点。アライドテレシスが今回発表したCentreCOM 8948XLは、インフラ構築を担う。加えてアライドテレシスではビデオ会議のアプリケーションとスイッチ製品をパッケージした製品も検討。ファイアウォールなどのIPv6化も進めている。開発リソースの大半を投入することで、「将来的にどこかの時期に必ず移行するIPv6」(高木氏)の環境で他社に先んじる考えだ。

(編集局 垣内郁栄)

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アライドテレシスの発表資料

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