Centrinoが1周年、無線LANは企業の生産性を変えたか

2004/5/11

インテル 代表取締役共同社長 吉田和正氏

 インテルはノートPC用プロセッサ「Pentium M」の新製品を5月10日に発表した。3つの新製品は同社の無線LAN対応ノートPC用プラットフォーム「Centrino モバイル・テクノロジ」を構成するプロセッサ。インテルの代表取締役共同社長 吉田和正氏は「Centrinoを発表した2003年3月からインテルは製品を作るだけでなく、企業の生産性を向上させる環境作りを進化させてきた」と述べ、この1年の成果を強調した。

 インテルが発表したのは90nmプロセス技術の300ミリウェハで製造された「Pentium M プロセッサ 755」(クロック数2GHz)と「Pentium M プロセッサ 745」(同1.80GHz)、「Pentium M プロセッサ 735」(同1.70GHz)。それぞれ従来のPentium M製品からL2キャッシュを2倍の2MBに強化し、「歪みシリコン」という新しいテクノロジを採用した。また、これまでのクロック数表示に代わり755などのプロセッサ・ナンバーを採用。Pentium Mは7xxが付き、Pentium 4は5xx、Celeronは3xxが付く。それぞれ2ケタ以下の数値が大きい方がパフォーマンスが高い。インテルでは「機能の違いを分かりやすく消費者に案内できる」とプロセッサ・ナンバーの採用を説明した。

 インテルによると、前世代のプロセッサであるモバイルPentium 4 2.60GHzと比較すると、Pentium M 735はパフォーマンスで25%上回り、755で33%上回っている。一方でバッテリ寿命は、モバイルPentium 4 2.60GHzで266分だったベンチマークが、735では362分、755では353分を記録。パフォーマンスを向上させながら低消費電力を実現していることが分かる。

ソニーが公開したCentrino対応の新ノートPC。WXGA対応の13.3インチディスプレーイを搭載する

 PCベンダ各社はPentium Mの新製品を搭載したノートPCの試作機を公開した。公開したのはソニーマーケティング、デル、東芝、日本IBM、NEC、日本ヒューレット・パッカード、日立製作所、富士通、松下電器産業。

 吉田氏によるとCentrinoを搭載したノートPCはすでに世界で150機種以上が出荷。国内でも50機種以上が出荷されている。企業向けノートPCの無線LAN搭載率も30%まで向上。インテルが紹介した事例では、コクヨが営業担当者にCentrino対応ノートPCを持たせたことで、無線LANを使った社外での活動が増え、顧客訪問の時間が増加するなどメリットが出ているという。吉田氏は無線LANスポットの検証プログラムやモバイル・アプリケーションの開発支援などで「さらに投資を加速していく」と述べ、製品開発と同時にワイヤレス環境の充実を図っていく考えを強調した。

(編集局 垣内郁栄)

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