「いまこそ戦略的にBIに投資するときだ」、ガートナー

2004/5/26

ガートナーのバイスプレジデント兼リサーチフェローのハワード・ドレスナー氏

 ビジネスインテリジェンス(BI)は、企業内に蓄積された情報資産を活用する手段として重要な役割を期待されている。ガートナーのバイスプレジデント兼リサーチフェローのハワード・ドレスナー(Howard Dresner)氏は、同社が5月25日に開催したプライベートセミナー「Business Intelligence AND Enterprise Portal 2004」で、ビジネスインテリジェンス(BI)とは「組織の使命に沿って、人員とプロセスを配置するために、定量的な情報ソースにアクセスし、それを分析すること」とし、企業がBIを成功させるために「インフラ&ツール、ベストプラクティス、アプリケーションという3本の柱をしっかりとたてる必要がある」と述べた。

 ドレスナー氏は企業がBIを導入するにあたって、場当たり的にならないようにと説く。そのために、BIのノウハウを主導する「コンピテンシセンター」部門の設立を提案する。「統一されたベストプラクティスを企業の中で使っていくことが大事」(ドレスナー氏)。BIコンピテンシセンターがあれば、プロジェクトごとにBIの知識やノウハウが分断されることなく、より一貫性のある戦略ができるとした。

 ベストプラクティスの重要性は、BIツールの選択の場面でも強調された。BIを実現するには、OLAPやスプレッドシート、BI専用ツールなど、複数の製品が企業内で用いられることが一般的だ。また、BIツールを基に自社の要求に合わせて作り込むこともある。ドレスナー氏は、「BIツールを購入するにしても開発するにしても、その目的は『ベストプラクティスを実現すること』と、『全社で統一されたプラットフォームを利用すること』が重要であり、そのためにはBIの計画が必要だ」とした。ここでもBIコンピテンシセンターが重要な役割を果たすことになる。

 今後のBIツールの進化として、より高度なスケーラビリティを持ち、インテリジェントな製品が登場するという。ドレスナー氏は、2005年の終わりまでにBI製品のスケーラビリティが10倍になり、同時サポートユーザー数が現在の10倍くらいになると予想。さらに、データをインポートし、ワークフローを使ってユーザーが求める分析を自動的に行うようなインテリジェントな製品が2008年ごろに登場するのではないか、とした。こうした製品が登場することで、ナレッジワーカーやアナリストがいなくても、高度な分析をすべてのユーザーに提供することが可能になるという。

 最後にドレスナー氏は、「いまこそが、戦略的にBIに投資するのに最適な時期だ。ビジネスへの圧力が高まり、洞察力が必要になるケースが増えている一方、それをサポートするBIのテクノロジは充実してきている」として、講演を締めくくった。

(編集局 新野淳一)

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