1980円でJDeveloper 10gを販売、オラクルの思惑は?

2004/6/18

 日本オラクルとソースネクストは6月17日、オラクルのJava開発環境ツール「Oracle JDeveloper 10g」をソースネクストの「Quality1980」シリーズとして、1980円(税込)で7月23日に発売すると発表した。Oracle JDeveloper 10gの正規版は1ユーザーで13万620円(税込)。日本オラクルの代表取締役社長 新宅正明氏は「日本の開発者に刺激を与えたい」と述べ、前代未聞の低価格戦略でJava開発者の裾野の拡大を図る考えを強調した。

ソースネクスト 代表取締役社長 松田憲幸氏(左)と日本オラクルの代表取締役社長 新宅正明氏

 1980円で発売するソースネクスト版はオラクルの正規版と同じ機能。ただ、ソースネクスト版はライセンスが1年に限られる。インストール後1年で新たにライセンスを購入する必要がある。正規版にあるオラクルの技術サポートは付属しない。

 対応OSはWindows、Linux、Solaris。1本購入する場合の価格は1980円だが、100ライセンス購入する場合の1本当たりの価格は1663円、1000本以上購入する場合の1本当たりの価格は1455円となる。ソースネクストはソフトの低価格戦略を続けていて、Oracle JDeveloper 10gの発売で法人市場に本格進出する。

 オラクルが低価格戦略でターゲットにするのはJavaに関心があってもツールが高価格で手を出せなかった開発者だ。「あくまでも個人」(日本オラクル マーケティング本部 本部長 清水照久氏)がターゲットで、開発プロジェクトなどで複数のエンジニアが利用するようなことは想定していない。清水氏は「プロジェクトに入る前に試用してもらいたい。体験版的な位置づけもある」と述べていて、他社のJava開発ツール、Visual Basic .NETからの移行も視野に入れている。個人的に興味を持ったエンジニアがソースネクスト版を使い、気に入ったらプロジェクトとして正規版を購入してもらえればいい、というのがオラクルの思惑。もちろん、開発したJavaアプリケーションを稼働させるプラットフォームとして「Oracle Application Server 10g」「Oracle Database 10g」が売れれば万々歳だ。

 Oracle Technology Network(OTN)のメンバーならOracle JDeveloper 10gの試用版をダウンロードして使うことはできる。ただ、試用版ではオラクルがユーザーを把握することが難しい。その点、ソースネクスト版なら製品に付属するアンケートから開発者のプロフィールやニーズが把握できる。

 清水氏は「OTNの周りにいる個人の開発者に販売し、一気に広げたい。万単位は狙える」と述べた。ソースネクストはOracle JDeveloper 10gをそのほかのQuality1980シリーズと同様の販路で販売する。法人向けの代理店販売に加えて家電量販店、書店、ダウンロードなどで購入できる。1980円のJava開発ツールが、開発者数の増加に寄与するか。「オラクルにとって大きなスタート」(新宅氏)となる。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクル
ソースネクストの発表資料

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