JIS規格を押さえるAcrobatのアクセシビリティ機能

2004/7/2

 高齢者や障害者など誰もがWebサイトにアクセスし、情報を得られる“アクセシビリティ”を実現するための具体的な要件を示したJIS規格が6月20日に制定された。アドビシステムズは、Adobe AcrobatがJIS規格に対応したアクセシビリティの機能を備えているとアピール。同社のインテリジェントドキュメント部 部長 市川孝氏は「Adobe Acrobatはアクセシビリティ=可読性がある」と説明した。

アドビシステムズのインテリジェントドキュメント部 部長 市川孝氏

 JIS規格の正式名称は「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス−第3部:ウェブコンテンツ」(JIS X 8341-3)で、Webサイトで提供されるコンテンツが満たすべきアクセシビリティのための具体的な要件を示している。

 JIS X 8341-3では、アクセシビリティの要件として「視覚を用いないで、Webコンテンツを操作または利用できる」と定めている。この要件についてアドビのインテリジェントドキュメント部 フィールド プロダクト マネージャー 千田斎氏は「Adobe Acrobatはサードパーティ製のスクリーンリーダーとの連携化が可能」と述べ、読み上げソフトを使ってPDFの内容を知ることができると説明した。視力が弱かったり、色の識別が難しいユーザーでもAdobe Acrobatのズーム機能やハイコントラスト表示機能で、快適にPDFを読めるという。

 JIS X 8341-3ではコンテンツの制作についてもアクセシビリティの要件を規定している。制作ツールの操作や入力などに関しては、Adobe Acrobatはフォーム欄を読み上げる機能やマウスを使わずにキーボードのタブキーでフォームを移動する機能がある。また、視覚障害者向けにPDF内の画像に代替テキストをメタデータとして埋め込んで、画像が見えなくても文書の内容が分かるようにする機能がある。

 すべての人が利用できるPDFを目指すAdobe Acrobatだが、そのアクセシビリティ機能は広く知られているとはいえない。市川氏は「アクセシブルなPDFは、作成者が意識するのが出発点」と述べたうえで「Adobe Acrobatのアクセシビリティ機能について啓蒙を続けたい」と強調した。

(編集局 垣内郁栄)

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