BIGLOBEで企業のマーケ支援、NECの狙いは

2004/7/14

 NECは同社のインターネット・サービス・プロバイダ事業「BIGLOBE」の企業向けマーケティング支援事業を本格化させると7月13日に発表した。ブロードバンド回線を使ったリッチコンテンツやモバイル向けの電子メール配信など、BIGLOBEがこれまで培ったマーケティング/広告ツールを活用する。NECでは2003年度に100億円前後だった企業向けマーケティング支援のビジネスを、2006年度には300億円まで押し上げたい考えだ。

 BIGLOBEはコンシューマ向けのISP事業が主だったが、ブロードバンド回線の普及に伴い動画などリッチコンテンツの販売やIP電話など“付加価値サービス”が拡大。2003年度の売り上げの40%を占めるようになった。NECでは付加価値サービスの比率がさらに拡大し、「近い将来、ISP事業の売り上げを逆転する」(NEC BIGLOBE事業本部 執行役員 谷岸一善氏)とみている。

NEC BIGLOBE事業本部 ビジネス事業部 事業部長 佐久間洋氏

 新たに始める企業向けのマーケティング支援サービスは、これらのコンシューマ向けの付加価値サービスで培った集客のノウハウを法人に提供する。具体的には新製品や新サービスのマーケティングを検討している企業に対して、BIGLOBEのポータルサイトを使った事前リサーチやモニタリング、ブロードバンド回線を使った動画広告などを提供。BIGLOBE会員の属性に合わせたセグメント別のプロモーション、携帯電話への電子メール配信などを広く行う。さらにNEC本体のシステム・インテグレータ部隊と連携し、ECサイトやCRMの構築運営も行うなど「BIGLOBEのこれまでのアセットを有機的に結合して提供する」(NEC BIGLOBE事業本部 ビジネス事業部 事業部長 佐久間洋氏)という。

 これまでも事前リサーチやポータルサイトを使ったプロモーションなどは個々に提供してきたが、佐久間氏は「それぞのツールに磨きをかけてトータルソリューションとしてメニューを体系化したのが特徴」と説明。企業向けマーケティング支援を行う専門部隊として「eマーケティンググループ」を十数人規模で新設し、BtoCの企業を中心に開拓するという。

 佐久間氏は「BIGLOBEは(マーケティングの)ツールベンダの立場から戦略策定から実行までを提案し、共同でマーケティングを提供する企業のパートナーになる」と述べた。ADSLや光ファイバなど料金定額のインターネット接続が一般化する中で、ISP事業の売り上げが今後大きく伸びる可能性は低い。NECは付加価値サービスとともに、NEC本体とも連携できる企業向けのマーケティングサービスを拡充し、サービス構成の多角化を図る。

(編集局 垣内郁栄)

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NECの発表資料

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