米アジターのJavaテストツールに「歴史が変わった」の声

2004/7/16

 イーシー・ワンは米アジター・ソフトウェアのJavaプログラム・テストツール「Agitator」の国内販売を開始したと7月15日発表した。AgitatorはワンクリックでJavaプログラムの単体テストをでき、イーシー・ワンでは「Javaプログラムの品質を劇的に向上させる」とアピールしている。イーシー・ワン 代表取取締役社長 最首英裕氏は「Javaの開発案件は大型化、複雑化し、各社は品質改善に苦労している」と述べたうえで「Agitatorは根本的な解決になる」と強調した。

イーシー・ワン 代表取取締役社長 最首英裕氏

 最首氏は「最近、Javaプログラムに取り組んでいる企業で、プログラムコードを書いてコンパイルし、文法上の間違いがないかだけを確認して終わりにする例が増えてきている」と述べ、単体テストが省略される現状を説明。単体テストでプログラムの精度を上げるには、本来のプログラムコード以上のテストコードを書く必要があり、開発者の負担になっているからだ。その結果として、十分な単体テストが行われないままコードが統合され、開発工程の最終部分でエラーが見つかるケースが多いという。一般的に開発工程の最初でエラーを発見し修正すれば、かかるコストや時間は少なくすむが、工程の最終部でエラーを修正するとコストや時間は増大する。

 Agitatorがこの問題を解決する。AgitatorはJavaプログラムのコードを読み取り、プログラムの構造を分析。コードから想定されるプログラム仕様を自動で生成する。さらにプログラムの解析から引数を自動生成し、ワン・クリックでプログラムのテストができる。開発者が想定しないような引数も設定でき、あらゆるパターンでプログラムコードをチェックする。人手をかけてテストコードを作成する必要がないため、大幅に効率化、コスト削減ができるという。最首氏によると初めてAgitatorを試したイーシー・ワンのエンジニアは、「これで歴史が変わった」と驚きの声を上げたという。

 AgitatorはJ2EE、Servlet、JDBC、JNDIをサポート。JBuilder 8、9x、IntelliJ 3.0、Eclipse 2.1、3.0などと統合して利用できる。イーシー・ワンはまた、Agitatorで生成されたデータを読み込んでプログラムの品質管理、進ちょく管理ができる「Agitar Management Dashboard」も販売する。

 イーシー・ワンはAgitatorを顧客に販売すると同時に社内でも導入し、システム開発に生かす。1万3000メソッド、数千のクラス数がある「3年越しの大型プロジェクト」の開発にAgitatorを適用した事例では、別のテストツールである「JUnit」を使うケースと比較して「1.5人年くらいのコスト削減効果が出ている」という。このプロジェクトはもともと、JUnitを使ってテストを行っていたが、膨大なテストコードを書くことが負担になり、途中で利用を停止。Agitatorを導入したことで「JUnitで1年かけていた作業が半分になった」と最首氏は胸を張っている。

 イーシー・ワンは、Agitatorの販売で顧客が用意したソースコードをテストして効果を示す「POC」(Proof of Concept)を行う。Agitatorでソースコードを実際に走らせて、プロジェクト全体の改善効果を測定する内容。利用は無償で、顧客にAgitatorの効果を分かってもらい、正式採用につなげるのが目的だ。

 Agitator、Agitar Management Dashboardは10ユーザーから販売。1ユーザー当たりのライセンス、保守料金は50万円から。イーシー・ワンは発売初年度に20〜30の顧客に導入することを目標にしている。アジターのアジア・パシフィック統括 副社長 ジェフ・ポープ(Jeff Pope)氏は「日本では自動車関連など大企業をターゲットに拡販していきたい」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

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イーシー・ワンの発表資料(PDF)
米アジター・ソフトウェア

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