“いきなりPDF”とは違います、本家本元アドビがPDFセミナー

2004/7/17

 アドビシステムズは7月16日、企業ユーザー向けの「Adobe Acrobat 6.0活用セミナー」を開催した。開催の目的は「低価格なPDF作成ツールと異なり、Adobe Acrobat 6.0はPDFを作るだけでは終わらないことをアピールすること」(アドビ)。仕様がオープンにされているPDFはソースネクストの「いきなりPDF」などさまざまなツールが出ている。アドビはPDFの“本家本元”をアピールし、他社ツールにはないPDFの高度な使い方を提案した。

アドビシステムズのエンタープライズ営業部 ビジネス デベロップメント マネージャー 大矢博文氏

 アドビがPDFを開発してから11年。アドビシステムズのエンタープライズ営業部 ビジネス デベロップメント マネージャー 大矢博文氏は「PDFのクオリティが問われる時代になった」という。社内文書やインターネットの文書配布でPDFを利用するのが一般的になり、次の段階ではどのようにPDFを有効活用し、ビジネスに生かすかが問われているというのだ。

 大矢氏は具体的なPDFの活用事例からAdobe Acrobatと、他社のPDF作成ツールとの違いを説明した。Adobe Acrobatにしかない機能として大矢氏がまっさきに説明したのは、セキュリティ機能。日立製作所は社内で利用する電子文書をMicrosoft Officeに統一していた。しかし、グローバル企業だけにユーザー間でMicrosoft Officeのバージョンや言語の違いがあり、混乱が生じていた。そのため社内文書のフォーマットをあらためてPDFに統一した。

 社内文書のフォーマットをPDFにし、社員全員がAdobe Acrobatを利用することになったメリットは電子文書に対するセキュリティの向上だ。Adobe Acrobatにはパスワードを知っているユーザーしか文書を開けないようにする機能と、文書ごとに印刷の可否や内容の変更、コピー、スナップショットの禁止などを設定できる機能の2つがある。

 さらに最新版のAdobe Acrobat 6.0には文書を送信したい相手の公開鍵でPDFを暗号化し、相手に秘密鍵で復号化してもらえる機能が追加された。社内のLDAPサーバと連携可能。文書に電子透かしを埋め込んで文書の外部流出を防止する機能もある。日立はこのようなAdobe Acrobatのセキュリティ機能を利用して、社員の10万枚を超える給与明細書を電子メールで配布できるようにした。膨大な社員がいるため、紙で明細書を配布することと比較して大きなコスト削減になったという。

 大矢氏が「いま、Adobe Acrobatで最も注目されている」と説明したのがフォームの機能だ。社内の申請文書や帳票をPDFで電子化し、処理のプロセスを効率化するのが目的。大矢氏が説明した事例では住友商事が社内の承認フローにAdobe Acrobatを活用。承認文書をPDF化して回覧、承認、アーカイブしている。Microsoft Word、Excelで作ってあった承認文書を、Adobe Acrobatを使ってそのままの形でPDF化したため移行作業が少なく済んだ。PDFのフォームに入力されたデータはCSV形式で取り出して会計システムに自動で入力されるようになっている。大矢氏は「承認プロセス自体を変更せず、紙でやっていたことをそのまま電子化できるのがAdobe Acrobatの特徴」と説明した。

 アドビ社内でも当然、Adobe Acrobatを使った申請システムを使っている。Adobe Acrobatと「Adobe Workflow Server」を組み合わせてSAP R/3の経費精算プロセスをPDF化した。ネットワークに対応し世界のどこからでも経費精算でき、途中保存、追記にも対応。紙ベースの経費精算と比較して処理時間が70%削減、毎月650万円以上のコスト削減効果が出ているという。電子申請のシステムはWebアプリケーションで組まれることも多いが、Webブラウザは常にオンラインで利用する必要があり、文書の途中保存も難しい。大矢氏は「PDFフォームならオフラインでの記入、途中保存ができる」とメリットを強調した。

(編集局 垣内郁栄)

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