マイクロソフト社長 ローディング氏の2005年度が始まった

2004/8/11

 マイクロソフト 代表執行役 社長 マイケル・ローディング(Michael Rawding)氏は8月10日、7月に始まった同社の2005年度の経営方針を説明した。新年度について「われわれの第一の優先課題はセキュリティだ」と述べたうえで、製品の機能強化やパートナー連携の取り組みを強調した。

マイクロソフト 代表執行役社長 マイケル・ローディング氏。今夏の徳島市の阿波踊り大会にパートナー50社、マイクロソフト社員とともに参加するという

 ローディング氏は社長就任後初めての経営方針説明会を2003年8月6日に開催した。しかし、その直後にBlasterワームが発生し、マイクロソフトに対してあらためて製品のセキュリティ強化が求められる事態となった。ローディング氏は2005年度について「私はある程度の自信を持ってBlasterのようなワームは今後数週間は発生しないといえる」と明言。仮に発生してもマイクロソフトがこの1年に築いてきたセキュリティベンダなどとのパートナーシップや、製品に追加したセキュリティ機能で対処できると述べた。

 マイクロソフトがセキュリティ強化を強調する背景には、セキュリティの弱さを理由に、国や自治体が電子政府案件にWindowsではなく、Linuxなどのオープンソースソフトを使うようシフトしてきている背景がある。日本を米国に続く第2の市場ととらえるマイクロソフトにとっては電子政府案件は失注できない重要案件。電子政府がオープンソースになびくことで、一般企業の流れもオープンソースにいきかねないという懸念もある。マイクロソフトは2004年2月にWindowsとLinuxのTCOを比較した第3者機関のレポートを掲載する「Get the Fact」キャンペーンを開始した。ローディング氏は同キャンペーンについて「かなり受け入れられてきている」と述べ、手ごたえを感じている様子。「神話と現実は切り離さないといけない」と語り、電子政府やエンタープライズ案件でのWindowsの拡販に期待を寄せた。

 WindowsのOEMライセンス契約をめぐる日本の公正取引委員会との問題を決着させることも2005年度の課題となる。ローディング氏は「われわれの活動は以前から適切であったと主張したい。公取委の排除勧告は応諾しない」と従来の主張を繰り返したが、「公取委との対話を続けたい」とも述べ、決着に期待をにじませた。

 ローディング氏は競合するベンダとしてIBM、オラクル、サン・マイクロシステムズなどを挙げた。しかし、競合対策と同時に注力をしたいのはWindows NTなど旧来のプラットフォームを使うユーザーを最新の製品にリプレースさせるビジネスではないだろうか。旧製品は機能が現在の製品と比較して劣るのはもちろん、マイクロソフトが最もセンシティブになっているセキュリティの機能が貧弱。旧製品を使っているユーザーがウイルス攻撃などを受けて、マイクロソフト製品の評判を落とすことがあれば、やりきれないだろう。ローディング氏は「顧客がわれわれの最新のソフトをもっと導入できるよう助けないといけない」と述べ、リプレース施策の導入を示唆した。

 新規案件獲得や顧客満足度の向上の武器にしたいのがサービス・サポートだ。ローディング氏は「500人以上のエンジニアがサービス・サポートを提供している」と万全の体制を強調。CIOに直接、IT戦略をアドバイスする「エンタープライズストラテジックコンサルティング」や大規模顧客に高品質なサービスを提供する「プレミアサポートサービス」を強化する方針を打ち出した。サービス・サポート自体はこれまでも提供してきたが、あらためてアピールすることで顧客の印象アップを狙う。

 新規テクノロジではXML Webサービスの取り組みを強化する。XML連携機能を搭載した「Microsoft Office System」を使い、「XMLベースでバックエンドシステムと連携する」(同社 執行役 常務 エンタープライズビジネス担当 平井康文氏)使い方を企業に提案する考え。ローディング氏は「XML Webサービスは今後1年で日本で主流になる」と述べ、明るい見通しを示した。ローディング氏はメインフレームやオフコン、UNIXからWindowsプラットフォームへのマイグレーションを推進する取り組みも強化すると述べた。

 セキュリティ対策強化やオープンソースソフト対策を打ち出したローディング氏の新年度経営方針だったが、ほとんどは前年度から行っている事業で、目新しさはなかった。ローディング氏自身も「2005年度は継続性の1年であるといえる」としていて、2004年度に打ち立てた方針を着実に進めていくのがローディング氏の仕事になりそうだ。

(編集局 垣内郁栄)

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