コンテンツ管理ソフトの勝ち組、負け組はどこ?

2004/8/18

 コンテンツ管理ソフト市場が揺れている。特に専業ベンダは、米ドキュメンタムがEMCの傘下に入ったり、オラクルなどの業務アプリケーションベンダがコンテンツ管理機能を強化するなど市場全体の競争が激化。コンテンツ管理専業ベンダの1つ、米ステレントの日本法人である日本ステレントの代表取締役社長 ブライアン 遠藤氏は「コンテンツ管理ソフト市場は合併などの統廃合でベンダは2〜3に今後絞られる」と見通しを示したうえで「ステレントはそのうちの1つになれるよう努力しているし、なれると思う」と述べた。

日本ステレントの代表取締役社長 ブライアン 遠藤氏

 コンテンツ管理ソフト市場の競争が激化しているのは、企業からのコンテンツ管理のニーズが高まっているからだ。主なニーズは2つ。企業会計に関する規制強化や個人情報保護などコンプライアンスに対するニーズと、Webサイト活用へのニーズだ。日本ステレントのビジネスディベロップメント マネージャー 山下進一氏は、それぞれのニーズに別個に対応するサービスや製品は多くあるが、この2つを連携させて統合的に管理できる製品は多くないと説明し、「この2つのニーズに対応する機能を兼ねそろえるのがステレントの製品だ」と述べた。

 ステレント製品の基本的な考えはドキュメント管理とWebコンテンツの管理を統合的に行うこと。新たにコンテンツを作成する場合、スタッフはMicrosoft Officeなどで文書を作成し、それをステレント製品が提供するWebアプリケーションを使ってサーバに登録する。サーバではコンテンツのバージョン管理や外部への公開管理、フォーマットの統一や変換の作業を行う。

 承認が必要なコンテンツの場合はサーバが自動的に承認のワークフローを作成し、Webブラウザを通じて承認者に承認を求める。コンテンツを作成したオリジナルのアプリケーションを持っていない承認者でもWebブラウザでコンテンツを閲覧できるため、外部のチームと共同で作業する場合も混乱が少ない。日常的に利用するWebブラウザでコンテンツを作成、管理でき、トレーニングなども不必要。山下氏はステレント製品について「企業内の一般社員がターゲット。Word、Excelでコンテンツを管理でき、技術や仕組みを理解する必要がない」と述べ、利用しやすさをアピールする考えを強調した。

 ステレント製品のキーとなっているのがコンテンツの変換技術だ。さまざまなアプリケーションで作成された異なる形式のコンテンツを、Webサイトでの公開やアーカイブ、企業独自のフォーマットに適した形式に交換可能。HTMLやXML、PDFをはじめ、主要ビジネスアプリケーション、CADデータ、画像、音声、動画の入出力に対応する。入力可能なファイル形式は225種に及ぶ。山下氏は「あらゆるコンテンツの入力、出力が可能」として「エンタープライズレベルでコンテンツのフローをコントロールできる」と語った。「ステレントでは自社の変換技術のOEM提供も行ってきて、オラクルやサン・マイクロシステムズなど400社が利用している」(山下氏)という。

 日本ステレントは2002年12月に設立し、翌年6月から営業活動を開始。これまで10社程度に製品を導入してきたという。約半数が金融業。今後は金融に加えてヘルスケアや製造業、メディア、政府、自治体向けで力を入れたいとしている。ターゲットする業種に強いパートナーと連携し、その業種内でのステレント製品のシェアを向上させるのが戦略だ。

 遠藤氏はコンテンツ管理市場について「新規顧客が増えている勝ち組と、既存顧客のみで収益を挙げている負け組に分かれつつある」として、「ステレントとドキュメンタム、インターウォーブンは勝ち組といえるだろう」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

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